松原慶太

トップガン マーヴェリックの松原慶太のレビュー・感想・評価

3.6
「人生に大切なことはここに全部詰まっている」(by 川口春奈)などの前評判でハードルが上がってしまった。

たしかに手に汗握る面白さだし、大ヒットしたのは頷けるが、批評家受けはしない(映画賞ではスルーされる)だろうな、というのが正直な感想。

まず「ライト・スタッフ」で実在の伝説的なパイロットを演じたエド・ハリスや、ジョン・ハム(「マッド・メン」)など、キャスティングにはわくわくした。

ただ前半は人間ドラマがもりあがることもなく退屈。ひとつにはトム・クルーズ以外の見せ場がほとんどなかったせいでもある。

いっぽうトムは「ミッション・インポッシブル」シリーズなどとは異なり、じゃっかんの老け役?を好演。これは発見でした。そこはF-18やF-14などの旧式戦闘機が活躍する本作のテーマにも通じる。

たしかに後半の戦闘シーンはアガる。アガるけどなんか薄っぺらい。敵国名が出てこないし、敵パイロットの顔も映らない。観客が痛みなくヒャッハーするためだろう。

しかし仮にも、3機撃墜している(=何人か殺している)わけだから、ある程度のリアリティがないとなぁ。こっちも何人か死ぬ筈でしょ。「スターウォーズ」だってもっと人死ぬよ。全員生還イェーイじゃないでしょ。

パイロット映画でいえば前出の「ライト・スタッフ」。ヒロイズムも描きながらリアリティもある戦争映画でいうと「フューリー 」のほうが優れていると、オジさんは思ったなぁ。
松原慶太

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