ベイビー

さよならの朝に約束の花をかざろうのベイビーのレビュー・感想・評価

3.2
「さよならの朝に約束の花をかざろう」

この作品は、良くも悪くもこのタイトルに表れている気がします。こういう言い回しが好きな人は好きなんだろうけど、苦手な人はやはり苦手なのではないでしょうか。僕はどちらかと言うと後者の方です。

プロットは良いと思ったんです。まるで「葬送のフリーレン」のように、数百年も生き続けるという不老長寿の種族の主人公が、永遠に似た時間の中で、人と関わり、人を育て、人を見送る物語。その人と関わったほんの僅かな時間と、その先にある果てしなく続く時間の中で、人を見つめ直し、自分を見つめ直し、一生も、一瞬も、全ての時間の中で一緒にいた人のことを思い続ける。その人が人を思う理りを大切に描こうとすることはとても素敵だと思ったんです。

そして作画も美しく素晴らしいと思ったんです。ファンタジーの世界観を見事に映し出した背景画がとても綺麗で、作画もシンプルながらきちんと人の動きを描写しています。一秒作画が動くごとにアニメーターさんたちの努力と技術が垣間見れ、計算された構図と繊細な作画の作り込みは、これまで見てきたアニメ作品と比べても、最高峰の出来映えだと感じました。

しかし、なんかフワッとしてるんです。
作品のタイトルくらいフワッとしてるんです。

物語の背景とか、その世界の情勢とか、そこで暮らす人々の心情とか、どうしてこの人たちは戦っているのかだとか、全然伝わってこないんです。キャラ設定も所々のエピソードも全部がフワッとしてるんです。バックボーンが見えてこないというか、なんだか雰囲気だけ作り込み過ぎて、細部までの作り込みに気が回らなかったような印象を持ちました。人の一生を描くようなこの内容を2時間にまとめるのはちょっと厳しかったのかも…

設定も作画も綺麗だっただけに非常に残念でした。
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