ベイビー

我、邪で邪を制すのベイビーのレビュー・感想・評価

我、邪で邪を制す(2023年製作の映画)
4.0
Netflixオリジナル作品

重要指名手配犯第3位の男が、第1位と2位の悪を倒しに行くお話。成り上がりヤクザが“テッペン”を獲りに行く無骨なアクション映画かと思いきや、なかなか変則的で面白味のある作品でした。

そもそもこの作品が無骨だと感じたのは、「我、邪で邪を制す」という邦題による影響が大きかったかも知れません。タイトルから「龍が如く」的な漢臭が、ぷんぷん漂って来たのは僕だけでしょうか?

原題は「周處除三害 / The Pig, the Snake and the Pigeon」。

「周處除三害」とは中国の故事で、周處という嫌われ者が、村人の恐れる大蛇と虎を仕留めたのだが、村人にとっては自分は三番目の害であった事に気付き、それから会心をして行く。というお話。

「The Pig, the Snake and the Pigeon」とは、仏教用語の“三毒”が由来。仏教では人の心に垢が付く原因は三つあるとされていて、一つは“貪”、二つ目が“瞋”、三つ目の“癡”を合わせて“三毒”と呼ぶそうです。

・貪(とん)とは、むさぼりの心。
・瞋(じん)とは、怒りや憎しみの心。
・癡(ち)とは、不平不満・グチの心。

それぞれ鶏、蛇、豚が象徴しているそうで(そう言えば、“香港人”には蛇のタトゥが入ってましたね)。

この“三毒”を取り除くには、

・人のために尽くし
・自分や他人の過ちを赦し
・意識して感謝することだそう。

それを知り改めてこの作品を振り返ると、“なるほど”と思える部分が多く、原題を準え組み立てられた脚本の構成は、とても良かったと思います。

指名手配犯をランク付けするのは何故? と思わなくもないのですが、前半パートと後半パートが全く違う話の流れになっていて、でも最後はしっかりと纏まって何気にジーンと感動させてくれました。
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