狭須があこ

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法の狭須があこのレビュー・感想・評価

4.1
カラフルな世界。
きれいなママとかわいい子供。
鳥と会話するウィレムデフォー。

いや~スゴイ。
自由なクソガキにしか見えない。これマジで演技なんですか?
はぇ~…アメリカンの子役すげぇ~。

夢の国ディズニーランドのすぐ横の、きれいな色の壁のモーテルに住んでる親子のお話です。
いや~、きれいきれい。毎日は、楽しいことでいっぱいだし。
友達も居るし。
好きなだけ食べていいよ。あれも買おう。これもやろう。
文句を言う大人はクソッタレ!

そう、どこにでも行っていい。
自分の足で、自分の金で、行ける場所へなら。

鶏が先か卵が先かみたいな話ですが、この境遇にいたったのは、彼女のせいだろうか?彼女がここに居続けるのは、彼女のせいだろうか?
そしてこの境遇に私たちがいないのは、私たちの功績なんだろうか?

襲いかかる乗り越えるべき壁は、全て現状以下になることを阻止するもの。
これを乗り越えたとして、どうなるか?今の生活が、この先も続くのだ。

選択肢がないワケじゃない。
でも、選べるものはとても少ない。
悲しいことが起きなくても、楽しいことが起こっていても、外の世界はゆるやかに彼女たちの自由を制限し、小さな日常のなかに閉じ込めている。

置かれた場所で精一杯生きる。身近な暮らしのなかに幸せを見出だす。
彼女たちを不幸だと断ずる権利はないけども、ここで育つムーニーは恐らく、ヘイリー以外になることはない。
こんなの、覚めない夢みたいだ。

「人々を幸せにするはずのもの」に駆け込んで、果たして「それ」は、彼女たちを幸せにしてくれるんだろうか?
笑顔溢れるこの映画でちょっと重たい気持ちにもなれる自分に、大人を感じました。
狭須があこ

狭須があこ