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ミスミソウのsayaのレビュー・感想・評価

ミスミソウ(2017年製作の映画)
5.0
田舎の中学校に転校したヒロインへのいじめが暴走してしまい、家に火をつけられて家族が焼き殺されてしまう物語です。
押切蓮介先生の原作の大ファンだったので映画化が決まった時は本当に嬉しかったです。
主要な登場人物が子供たちで凄惨な暴力描写も多い作品なので映像化は難しいのではないかという不安もあったのですが、原作をほぼ忠実に映像化していることに感動しました。
原作から削られた暴力描写に関しても漫画的に誇張されたものが多かったのでよりリアリティの感じられる映像になっていると思います。
ホラー映画ではなく青春映画といっても過言ではありません。
些細な感情のすれ違いから家に火をつけられたり、殺し合あったりするわけですから、本当に青春というのは業が深いです。
思春期特有の友情と愛情がごちゃ混ぜになった感情を持て余して憎しみを募らせていくのが切ないのですよね。
ほとんどの登場人物はハチクロみたいな片思いをしていますし。
いじめを題材にした作品は、いじめの是非を問う説教くさいテーマになりがちですが、『ミスミソウ』は復讐だけで物語が終わらず、糸の切れた凧みたいに思わぬ方向に物語が突き進んでいくのが魅力です。
二度と戻らない甘酸っぱい瞬間を鮮やかに切り取ってくれたラストシーンの切ない余韻は、いつまでも痛みとして生き残った者の心に残り続けるでしょう。
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