伊達巻

スリー・ビルボードの伊達巻のレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
5.0
5年前に映画館で観た以来!ほんとめちゃくちゃおもろい、どのシーンとっても素晴らしい。笑いの中にも深い悲しみがある。マクドナーが劇作家から始まってるってのを最近知ってだいぶ納得した、脚本や台詞回しにおけるこの独特のバランス感は演劇的な要素が大きかったのだな。まさに劇的な面白さ。単なる復讐劇ではない、後悔と悲しみに耐える一人の女の軽快なコント劇でありまた愉快で豪快な冒険譚でもある。田舎に建てられた3枚の看板が世界の注目を集めるものの決してそれが「世界を変える」わけではない、至ってくだらないまま。レイプ事件に腐った公組織や機械と化したメディアなど真面目に社会問題として描こうとすればそれだけで一本できそうなものの、この映画では全てがミズーリ村という舞台の上で起こった悲喜劇として描かれる。どうにも楽しいが、同時にテーマがテーマということもあって初めから誠実な緊張感のようなものがある。決して偽善だけでテーマを取り上げるのではない、しっかりと多くの問題について理解してまた対峙する意思がなければここまでの作品は作れない、悲しみと愉快さのバランス、というか境なく混ざり合ってるのがこの映画のすごいとこだと思うのだが、本当に秀逸。ほんとどのシーン5年ぶりに観たとは思えないほどよく覚えてた(マミーが神父をメタクソに言い負かして嬉しそうなロビー(ルーカス・ヘッジズ!!)、みたいなさりげない瞬間とかだって!)、こんなに素直に面白いって思える映画はなかなかないんじゃないかとさえ思う。ダメダメ息子(同時に彼の映画でもある)がウィロビーんとこ乗り込んで暴走するとこなんか完璧すぎて言葉失う(笑)
伊達巻

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