dm10forever

Z Inc. ゼット・インクのdm10foreverのレビュー・感想・評価

Z Inc. ゼット・インク(2017年製作の映画)
3.5
【やっぱ、グレンにしか見えん・・・】

良くも悪くもそこに尽きるのかな・・・。
主演のスティーブン・ユアンについては、あの「ウォーキングデッドシリーズ」でグレンを演じていたことでも有名ですし・・というか、説明する際に「ウォーキングデッドは知らない」と言われてしまうとそれ以外に説明できないんだけどさ・・・。

で、CMなんか見ても思うわけですよ
「お、グレンの人だ!なんだ、またゾンビ映画に出てんの?」と。
そうなんです、根本的に勘違いですね。この映画を「ゾンビ映画」だと思って観ていたんです。
出だしの設定はいい感じでした。
『会社の中で「ID7」というウイルスに感染した社員達が凶暴化して、高層ビルは完全封鎖される』
なるほど、グレン・・・失礼、デレクはこのビルから脱出できるのか?というサバイバルホラーね・・・。ん?デレクの目も赤くない?感染してるの?ダメじゃん。

いえいえ、ゾンビ映画を想定していたんで、「もうゾンビになっちゃったらどうしようもないじゃん」と思ったんですが、どうやら「ウイスルはただのウイルス」という設定でした。
なので「ゾンビ映画」を期待していた自分としては「根本的な部分の軌道修正(路線変更)」を余儀なくされたような感じですね。激ウマラーメン食べに行ったら定休日で仕方なく家でカップ麺食べるみたいな。

で、心を整えてから見てみますと、中々設定としては考えられていてまず「ID7ウイルスとは何ぞや?」から始まると思うんですが、これはいわゆる「ゾンビ化ウイルス」とは違います。なので感染しても死にません。ただこれに感染すると感情と理性のバランスが完全に崩壊し、各々の最も強い欲望に突き動かされて自制も効かなくなってしまう。ある者は暴力的な欲望が爆発してひたすら目の前にいる人を殴り続けたり、ある者は性欲が爆発して人目も憚らずヤリはじめたり、またある者は仕事への欲求が強すぎてひたすらメモを取り続けたり・・・。とにかく「本人が一番欲してるもの=実は最も理性で押さえつけているもの」の鍵が開けられてしまったという感じです。そしてそのウイルスが世界中で既に爆発的に拡散しているものとして語られています。その上で「このウイルスに感染した状態で殺人を犯したとしても、それはウイルスのせいであって、いわゆる心神喪失状態となるため罪に問われない」という判例まで出ていたのです。これは後で効いてくる設定でしたね。感染者はあくまでも「感染者」であって「死者(ゾンビ)」ではないんです。生きている人間の行為は「法で統治される対象」になっているんです(一応)。ここらへんがこの映画を単なる「偽ゾンビ映画」に終わらせなかった上手い設定だとは思いました。

・・・ただ、物語自体が画面の激しさに反比例するように淡白というか。正直言ってあまり面白くない。「これはゾンビ映画じゃないよ」と自分自身に補正をかけてみたとしても、盛り上がりに欠ける。
ホラーというほど怖くはないし、サバイバルというほど熾烈な状況でもない。主人公達もそれほど追い詰められるわけでもない・・・。
敵といっても所詮会社員だし。使う武器(工具)は結構えげつないけど(笑)

何か設定を活かしきれていないというか、爆発力に欠けるというか・・・。
「REC」のようなシチュエーションホラーを期待していただけに、ちょっとがっかりというか、そこまで補正は追いつきませんでした。
dm10forever

dm10forever