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ブリグズビー・ベアのはまたにのレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
4.6
愛すべき濁音熊映画。

幼少期から25年間の監禁を経て実社会へ、というインディ家族もの未知との遭遇ヒューマンコメディサンダンスが好きそうなやつムービーでよかった。

その構図からまんま略取監禁ものの『ルーム』(こっちはシリアスだけど)とか、山ごもり厭世家族の都市生活を描いた『はじまりへの旅』を思い浮かべたけど、ニュアンスとしては後者に近く、後者に抱いたしっくりこない感はなかった。『シンプル・シモン』にも近いかも。きっと『ワンダー 君は太陽』もそういうお話なんだろうけど、二の足踏んでまだ観てない(警戒中)。

劇中の登場人物は皆優しくおちゃめで、明確な悪意を持った人間はいない。映画的ではない普通の世界。みんないいやつ。

基本笑わせにかかってくるんだけど泣き所もふんだんにあって、「君は友達だ」と何気なく言うところ、「映画って誰でもつくれるの?」からの高揚感、妹とのハグ、『カッコーの巣の上で』ばりの(?)逃走、マーク・ハミルの変声と、笑いとほろりがこんなに交互にくるのかというのは嬉しい驚きだった。

主人公ジェームスの「(昔やっていた)演技はもうやめたの?」に「大人になったら変わるものさ」と返した刑事役の役者(グレッグ・キニア)が、これっぽっちも演技を諦めなかったからこそ「大人になったら変わるものさ」だなんてセリフを言えちゃってるところもなんだか泣けた(メタですか? これメタっていうんですか???)。

あと、すごいなあと思ったのは、チラッとしか出てこないエリックというキャラクター。彼がスクリーンに映ってる時間なんて30秒程度だと思うけど、ちゃんとキャラ立ちしてんだよね。意味がある。本来いてもいなくてもいいキャラなのに、ジェームスと明確な友情を築いてる様がきちんと描けているし、それが世界観の優しさに拍車をかけていて、さりげなくも見事だと思った。

いずれにしても大好きな1本。劇中映画の方で胸に刺さるセリフがあったら満点だったかも。ブリグズビーTシャツ、売り切れだったけど入荷してれば絶対買いたい! ちなみにこれはオタク映画とかってくくりではないと思う。Tシャツ買いたい!
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