すごい面白いですよこれ。クライムの皮被ったファミリームービーといいますか。序盤出所したのに自重トレーニング始めるところから何か怪しいなとは思っていたけども。だんだん彼を囲う檻は狭くなるのに、彼の支配は広まっていく。人間というものはデコボコだからいくらヤスリをかけても完全になめらかにはならない。どんなにまっさらにしようとしてもその小さな歪みに何かが引っ掛かることがある。それは自分が望むものとは真逆の悪玉になるか唯一の砦になるかはコントロールできない。悪循環なんて言葉は外側の人間だけが使う言葉なんだな。人生とは前に進むだけ。しがらみを絡み付けて最強に上る、本物のギャンクや前科者たちが実際にそれを体言しているので恐ろしい映画だ。見かけ倒しかと思いきやマッチョイズムに反した行動をされると怖くて泣いてしまう…『ブラッドスローン』ルートか『ショーシャンクの空に』ルートか選ばなきゃいけないなら間違いなく後者だけど、超越した善性を指すのは実は前者なんじゃなかろうか。独善的と言われてしまったら何も言い返せないけど、この世なんて酸いも甘いも独善的だから成立してるんだもの。ただ支配欲には乗っ取られたくない。これだけは真っ当に不健全だ。でも彼にとっては堅実そのものだったのかも。
ニコライさんは本当に良い役者ですね。この邦題ゲースロからとっただろ。そうだろ。でも意外とセーフしてるな！ニコライさん、苦節35年…みたいな業を背負った役どころが多くて不安になってしまうので、わたしはちょっと大きい神様やってたときが好き！バーンサルさんは何見ても基本的に大好きです。どんなに酷い役でも優しいお顔だからかな？『ザ・コンサルタント』の彼が大好き！一人でペラペラ喋ってるときの妙な小物感が似合うけど『レジェンダリー』のあの無口な貫禄も魅力的だ。まーあ悪人がよく似合うし大体白い粉関連だし、善人役なんて『ぼくとアールと彼女のさよなら』しか思い出せないんだけど、「フォーを食べるとフォーとなる」とか言ってたからあれは善人なのかは疑わしい（なんとここでも白い粉疑惑がかかる笑）。良い俳優さんが演技合戦する映画はホルモンが渦巻いてるので脳にききますね！
