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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のミートのレビュー・感想・評価

4.5
映画の良さも勿論だが、韓国のプロパガンダの実力を見せつけられる。ウィキによれば、映画の公開後に「有名になった」実際のキム・サボクはいわゆる流しのタクシー運転手ではなく、高級ホテルであるソウルパレスホテルの専属タクシー業者の一人として勤務していたらしい。相手にする客は国際色豊かであったことだろう。日本統治時代の朝鮮で日本語を習得し、英語は独学で身に付けた彼は、ユルゲン・ヒンツぺーターの忠実な運転手として光州での「戦火」を一緒に掻い潜ったであろうことは想像に難くない。光州での悲惨な情勢に心を痛めたキムは、ソウルに戻ってから酒に溺れアルコール性肝硬変となり、光州事件後のわずか四年後に肝癌でこの世を去る。ヒンツペーターは亡くなる2016年までキムに会うことを望んでいたらしく、時の流れの残酷さに無念の思いを禁じ得ない。間違いなく名画のレベルである。映画の後半の「カーチェイス」があったかないかなんて最早どうでも良い。所詮映画は漫画なのだから。
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