TakuMori

犬猿のTakuMoriのレビュー・感想・評価

犬猿(2017年製作の映画)
4.5
凶暴な兄・新井浩文と真面目な弟・窪田正孝。
しっかり者の姉・ニッチェ江上と奔放な妹・筧美和子。
文字通り“犬猿”の仲にある兄弟と姉妹がお互いのへの怒りや嫉妬を爆発させてぐちゃぐちゃになる話。


恩のある関係の親子とは違い兄弟って子供の頃から一緒に育っただけだから、自分より優れていたり迷惑をかけられたりするとそのフラストレーションも一緒にいる時間に比例して溜まっていく。
そうなるともう無償の愛や慈悲を持つ相手じゃなくなる、でも家族だから切っても切り離せないし替えが利かない存在だし…。

そんな風に一度その関係を否定したあと優しく肯定して、でも最後にやっぱりこんなもんだよねと締める。
綺麗な兄弟愛の作品が多くてあまり見ないけど、こういう兄弟の描き方もいいな。
本当の兄弟というのをちゃんと映してるというか。

一人っ子は兄弟いなくて良かったと思うだろうし、兄弟いる人でも仲良い・仲悪いあれど共感できて楽しめると思う。
あと男女で怒りのきっかけが違うのが面白かった。男は金と生き方、女は恋愛と評価。


実力派で上手い兄弟側の俳優陣と違って姉妹側は2人とも元々芝居の出じゃないから相対的に拙く見えたけど、その必死さが逆に本物の姉妹ゲンカを観てるようで良かった。
4人の人間が不満を少しずつ貯めて怒りを爆発させるまでを、無理のないストーリー展開で自然に丁寧に積み上げてまとめられていて。
吉田恵輔監督で好きな「さんかく」も、姉妹関係で同じようなものを感じる。

笑いどころも多くて楽しかった!


以下、覚え書き
・恋する君のとなりには(恋とな)
・筧美和子の「ニャン」
・不意に映る家族写真
・ノーチェンジの卓司
・ベビースターチャーハン
・エンジンのかかりにくい車
・富士急、コーヒーカップ、嘔吐
・マッサージチェアと座椅子
・電マ
・赤いワンピース、赤い菊
・後ろ姿
・身内を人に悪く言われるのは違う
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