大事な人を失い残された人が、もう手遅れでどうしようもない後悔を乗り越える系の話。「あの花」好きとしてはテーマに斬新さは感じないけれど、見せ方が個性的で、コメディータッチな部分と重たいシリアスな部分が垣根なく常に混在しているのは面白いね。コメディー要素がなかったら平坦になって、ここまで重たく感じなかったかも。
ステレオタイプの父娘と、少し狂気を感じるくらいの過保護な母親。この3人のバランスが妙にリアルなのが物語に真実味を与えているようで、良い意味で気持ち悪かった。
家族に限らず、世の中の思わず気持ち悪く感じてしまうものを綺麗にしないで、そのまま気持ち悪く描いているんだな。そこに向き合っていると、それが気持ち悪いだけのものじゃないことも見えてきたりして、家族を含めた「他人」の見方なんてものも考えてみたりみなかったり。他人の気持ちはその人にならなきゃわからないけれど、わからなくったって良いじゃない。って思えることも大切なのかもな。
