R

カオス・ウォーキングのRのネタバレレビュー・内容・結末

カオス・ウォーキング(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2021年のアメリカ/カナダ/香港の作品。

監督は「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のダグ・リーマン。

あらすじ

西暦2257年、ニューワールド。この世界ではエイリアンの征服によって、女は死に絶え、生き残った男たちは「ノイズ」として、頭の中の考えや心の中の想いが曝け出される状態になっていた。この星で生まれ、最も若い青年であるトッド(トム・ホランド「アンチャーテッド」)はある日、地球からやってきた宇宙船が墜落した現場を発見する。そこで唯一の生存者で今まで一度も出会ったことのない女性であるヴァイオラ(デイジー・リドリー「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」)と出会ったトッドは、ヴァイオラを狙う村の首長であるプレンティス(マッツ・ミケルセン「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」)から彼女を守るため、逃げ出すのだが…。

こちらもずっと面白そうだなと気になっていて、ようやくU-NEXTにて鑑賞。

お話はあらすじの通り、SFものなんだけど、とにかく本作、その設定がユニーク!!

「ニューワールド」と呼ばれるこの世界では女性が既にエイリアンによってみんな殺されちゃってるんだけど、生き残った男性たちにはある特性がある。

それが「ノイズ」と呼ばれるものなんだけど、要は頭の中の考えがモヤがかって頭の周りを常に漂っている状態になってる笑笑。

まぁ、これが面白くて、そのノイズを鍛えてる、今作の悪役にあたるミケルセン(オレンジのフサフサファーコート姿がまた異質)演じるプレンティスなんかは「我はこの世界の円環」という一定の決め台詞みたいな繰り返しの合言葉みたいなワードを頭に常に置いて考えが透けて見えないようにガードしてるんだけど、主人公であるホランド演じるトッドなんかはまだ若いので頭の中の考えが常に透けちゃってて、それでも相手に考えが読まれないように「僕はトッド・ヒューイット、僕はトッド・フューイット」と自分の名前を必死に頭の中で唱えて考えを読まれないように頑張る姿が非常にキュートで面白い。

また、この世界、女がいない=それ以降に生まれた男は女性経験がない=童貞が多いわけなんだけど、その最たる存在であるまだ若きトッド君はめちゃくちゃ童貞を拗らせてて、今作のヒロイン、ヴァイオラと出会った時も一気に一目惚れしちゃって「うわ、女の子初めて見た!金髪でかわえーー」って外面は平然を装ってるのにあわあわしちゃったり、初めて彼女と自己紹介し合った後、「ヴァイオラ、ヴァイオラかー!」と歩きながら夢中で彼女の名が頭から離れなくなったり、彼女と2人きりで雨やどりしていていいムードになって「キスしてぇ…」という想いが具現化しちゃったりと、とにかくこのトッドのめちゃくちゃいい子なんだけど、童貞の拗らせ具合がめっちゃ笑える!

ここら辺は流石「オール・ユー〜」のリーマン監督、さりげないコメディ演出の腕が光る。

あと、このノイズ、頭の考えがわかっちゃうというハンディしかないように見えて、もう一つ武器としての特性があって、それが考えを実際に具現化できるという点。トッドも序盤から、プレンティスのクズ息子相手にヘビを具現化させて威嚇するなどその素質があるんだけど、熟練したノイズを持つプレンティスなんかは自分の残像を何体も具現化して相手を惑わすなど幻術使いみたいな技を披露していて、そこら辺の面白さもあって、とにかく話を動かす役割としてはめちゃくちゃ応用性が高い!!

そういう意味ではノイズの具現化のシーンじゃないけど、プレンティスの伏兵的なNo.2として、デヴィッド・オイェロウォ(「彼方に」)演じるアーロン牧師というキャラがいて、こいつがノイズを隠さず常に曝け出してる状態なんだけど、他の男とは異なる赤黒いモヤで明らかに危険な思考を持っているヤバいやつ!というのが一目でわかるなど視覚的にもわかりやすい表現があったりする。

で、そんな奴らに狙われて、ヴァイオラと逃避行することになっていくトッドなんだけど、道中は上記の童貞ノイズシーンが度々差し込まれつつ、途中でこの世界を襲ったとされるスパクルと呼ばれる原住民に見つかりそうになって、ノイズでその存在がバレてピンチになっちゃったり、実はそのスパクルに女たちは殺されたのではなく、プレンティスとアーロンが共謀して皆殺しにしたという事実が発覚したりとSF的展開はそれほどないものの、お話と設定が面白い分、退屈せずに観続けられる。

特にトッドにはマンチーという、めっちゃトッドに懐いてる可愛い小型犬の愛犬がいて、道中共にするんだけど、そのマンチーが途中、アーロンに殺されちゃって、その後「泣くな、耐えろ…。僕の名前はトッド・ヒューイット…あいつ、殺す!!」と悲しみと怒りと混乱がぐちゃぐちゃになってしまうトッドの姿は悲しすぎて見てられられなかったなぁ…。だからこそ、展望台みたいなところまで逃げられて、亡きマンチーの元気にキャンキャンする姿をノイズで具現化して悲しみに暮れるトッドに優しくヴァイオラが寄りそうシーンはすげぇ良かった。

ラストも自分を具現化して惑わしてくるプレンティスに対して、遂にノイズの能力に覚醒したトッドがプレンティスに殺された母親を含めた女たちを具現化して追い詰める最終バトルのシーンなんかも今作の設定を生かしたバトルとして非常に面白く観れた。

最後はヴァイオラと遂にいい感じになったトッド、それでもやっぱり「キスしたい!」と最後まで拗らせてるラスト含めて童貞バンザイ!!なとっても面白い作品でした!!オススメです!!
R

R