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カランコエの花のJPのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
4.1
「少女は卒業しない」同様、田舎の高校の撮り方が抜群に上手い!
都会では成立しにくい、自転車の2人乗りや、2人きりの帰り道、感情を揺さぶる静けさが◎

不安定な手持ちカメラが印象的。(保健室の花ちゃん先生の授業、桜がバスの車内で流す涙の場面など。)
固定カメラのシーンはほぼ無し。不安定な高校生たちの心情をそのままパッケージするような、揺れる画面に心がかき乱される。

今田美桜の真顔がすごい。すべてを物語る真顔。

レズビアンが誰なのか、が「犯人探し」のエンタメにならないのが◎

花ちゃん先生も、嘘をつくときに鼻をかく加藤先生も、何も悪いことをしたわけではないのに、全てが悪い方へ向かってしまう悲劇。
やんちゃ男子2人の邪悪さが恐ろしい。

ラスト、笠松将が自分のしたことの残酷さに気付く場面、えぐすぎる。

マジョリティと同じと言ってあげることが「守る」ことだと信じてしまう残酷さ。赤いカランコエの花が、加害の色を帯びてしまう結末に、胸が締め付けられる。シュシュを外して泣く今田美桜も、エンドロールの独白も、焼きついて離れない。
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