109mania

デイアンドナイトの109maniaのレビュー・感想・評価

デイアンドナイト(2019年製作の映画)
4.0
 息がつまる力作。
 しっかりと覚悟を持って向き合った方が良い作品。そして自分自身に問いかけてくる作品。
 シチュエーションは、ありふれているわけではないので、自分が主人公明石と同じ立場に置かれることは、あまり考えられないが、描かれる本質はまさに今自分もその中にある問いである。

「正しいとは何か。」
 
 僧侶の小池龍之介氏のエッセイでは「完全な善人も完全な悪人もいない」とある。「偽善には、わずかな善意が含まれているのだから、良いこと」といったように語られる。この作品で伝わってくる主張は、ちょうどその裏返し。善人気取りの振る舞いが、周りを不幸にしていることだってあるのだよ、と。
 よく、自分のことを、めんどくさいと思う。誰もハッピーな結末にはならないであろう正義感をふりかざすからだ。そのエネルギーをもっと別の所に向けられたら、自分自身どんなに楽になるか、と普段の職場の人間関係で感じることは多い。それとレベル感は違うかもしれないが、この映画で描かれるメインテーマだ。自分の内面を直視させられているかのようなしんどさ120%の映画だった。
 
 新聞記者の監督なのね。今後見逃せない。
 でも見るときには注意が必要そうだ。まるでこの映画のテーマの様に見てもハッピーにはならないから。

 もちろん賞賛している。
 
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