テレビ局の視聴率競争に踊らされる人達の話。
テレビ局の行動原理は単純で、その番組企画が視聴率を取れそうならGO!駄目そうならCUT!で非常に解りやすく描かれています。
原理に則って天職のように生き生きとその世界で泳ぐ女性プロデューサー(フェイ・ダナウェイ)。
逆に波に巻かれて翻弄される老キャスター(ピーター・フィンチ)。
テレビ業界に限らずに一般企業にお勤めの方ならばこうした数字に振り回されるというのはごく当たり前の話。
日常の世界で業務成績や上下関係にストレスを感じている人なら「なにも映画の世界でも日常に似たような物にワザワザ接しなくてもいいかな」と感じてしまうのではないでしょうか。
映画監督とてしてワリと理想主義者のルメットの現実感覚を知りたい所ですが、先に書いたサラリーマンの日常がテレビ業界だけの特殊事情だと思っていたのか?どうもそのように私には感じます。
「パワハラで訴えればいいのに」と今の世の中に生きる立場の人間としてピーター・フィンチ演じる老キャスターを眺めていました。
本作が遺作になってしまった彼は死後にオスカーを受賞しました。
何となく惨めな最期を迎えたサラリーマンに贈られた勲章のような気もします。