中島らも原作の『お父さんのバックドロップ』以来のプロレス父子もの感動作。ミッキー=ローク主演の『レスラー』よりは悲壮感がないが、こちらはファミリーむけの良作だ。映画館でも親子連れが多かった。
何よりも良かったのはプロレスシーン。なにしろ本物が演じているので、本物の迫力がある。
ただ、筋書きがあればプロレスラーはこのように「演じられる」ということも表している。
それでも感動させられるのは、プロレスがそういうものだからだ。
そして、この映画ではヒールを主役に据えることにより、エンターテインメントとして体を張るプロレスラーの姿を浮き彫りにする。
棚橋弘至は監督の指導がよくわかる演技だが不自然な感じはない。驚いたのは田口隆佑で、本物の役者かというくらい巧かった。
オカダカズチカの大根ぶりも、真壁刀義の楽しそうな悪役ぶりもみんな楽しめる。
木村佳乃など「脇を固める」役者陣では、プロレスファンの代弁者、仲里依紗の泳ぐ目線など芸達者なところも魅力だ。二人ともちょっと痩せたが、さすがだった。
挙げていくときりがないくらい魅力がある、久々のファミリー映画で盛り上がった。