YasujiOshiba

レディー・ガガ:Five Foot TwoのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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ネトフリ。ヒーリングのためにクリック。ここには痛々しくて壊れそうなガガと、圧倒的にたくましいガガがいる。どちらもガガなのだけど、ひとつ確かなことは、彼女はそれを自分のためだと思っていないこと。傍にいる魂たちのために、魂たちのおかげで、魂たちの声を歌う。まさにモダンタイムメディウム。その声は、ぼくらの生きるトラックが、並行する何本もの伏線に寄り添われているからこそ、ライトトラックなのだと歌うのだ。

追記:
Five foot two とは Five feet two と同義。おそらく身長のことでセンチメートルに直すと159cmほど。けれどもガガの身長は155cm だから、5フィート(five foot)ちょうど。0.2が余ってしまう。
なぜ5.2 フィート(5 foot 2) なのか。それはどうやら、2011年に27歳で亡くなったエイミー・ワインハウス(1983-2011)の身長(159cm はドンピシャで Five foot two なのだ。
映画のなかでエイミー・ワインハウスのバックも務めたベーシストのニック・モブションと、タバコを吹かしながらの会話で、こんなことを言っている。
「わたし、VMA(エムティービー・ビデオ・ミュージック・アワード)でセクシーに振る舞おうと思うとしたら、そしてパパラッツィのことを歌うのなら、それって死ぬほど血を流しながらそうすることになるわ。それで、みんなに思い出してもらうの。名声を得ることでマリリン・モンローがどうなったか、ノーマ・ジーンという本名を持つ人になにが起こったか。アンナ・ニコール・スミスがどうなったか。それから... (ここでガガの目を虚空を彷徨い、モヴィションのほうに向き直り続ける)誰のことかわかるわよね」

If I’m gonna be sexy on the VMAs, and sing about the paparazzi, I’m going to do it while I’m bleeding to death and reminding you of what fame did to Marilyn Monroe, the original Norma Jean, and what it did to Anna Nicole Smith, and what it did to…” She trails off, her eyes lingering on Movshon. “Yeah. You know who.”
(http://www.mtv.com/news/3038763/lady-gaga-amy-winehouse-gaga-five-foot-two/)

この「誰かわかるわよね」というので、ガガが示唆していたがエイミー・ワインハウスだというのだ。27歳という鬼門で、多くの才能に溢れながら名声に押しつぶされたエイミー。彼女を含め、多くの魂に囲まれながら、ガガは鬼門を乗り越えてサバイブしようとしている。そんな気持ちが、タイトルの「ファイブ・フット・トゥー」には込められている。少なくともぼくにはそんなふうに思えたのだ。
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