たつかわ

判決、ふたつの希望のたつかわのレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
4.4
全人類が観るべき作品

私は予告編は全く見ない、そしてあらすじをサラッと確認する程度で観ている人間ですが、本作については前半から裁判シーン連続で言葉の応酬が続きますので、以下の2点は知っておいたほうが苦労しないと思いますので、紹介します。

・テレビの映像の中に映っている軍人
バシール・ジェマイエルという人で、キリスト教側の人です。1970年から始まったレバノン内戦中、1982年にイスラエルが侵攻を開始して、内戦が収まりますが、この人が大統領に選出後にイスラエルから距離を置き始めた時に、殺されました。

・シャロン
上記のイスラエル侵攻後にイスラエル軍バックアップの元にキリスト教徒によるパレスチナ人の大虐殺を裏で指揮をした人物で、後にイスラエル首相になった人物です。

以上の知識があれば、この映画を見るような人はたぶん大丈夫だと思います。

以降感想。

この裁判はそもそもは謝ったら終わりという些細なことでした。その時に私は海外の自動車事故は謝ったら負けということを思い出した。しかし、話が進むと私は「お願いだから謝ってくれ」というぐらいにそれぞれの身内や自身に被害が及ぶ。しかし、仮にどちらかが謝ったら、今度は謝った側が支持者から何をされるかわからないので、最後までいってしまったのは仕方がないのかな。

監督はムスリムの人間だが、信仰心がない人で、奥さんはキリスト教徒という人です。劇中では一方に偏らないようにお互いの良い面も悪い面も映していて、とても良いバランスで描いている。裁判シーンが始まり、終わったと思ったら、すぐに次に裁判シーンが始まるという非常に観客を緊張感に巻き込む裁判自体の面白さと、実は○○でした、車の修理シーン、当然殴られるシーンそして最後のアイコンタクトという緊張感を緩和するタイミングも良く、難しい話しではあるものの、後味の良い作品です。

レバノン内戦は15年、シリアの内戦はあと何年かかるでしょう。

おススメです。
たつかわ

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