円柱野郎

ミクロの決死圏の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ミクロの決死圏(1966年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

重要な情報を持つ東側の亡命科学者が襲撃される。
通常の外科手術が適用できない彼の命を救うため、特殊潜航艇ごと縮小化して体内から治療を行う特殊医療チームが編成されるが…。

縮小可能な時間が1時間で、その後は自動的に元の大きさに戻ってしまうというのが話に時限性というサスペンスを生み出している。
小さくなった人間が体内器官を目撃するという、誰も見たことのない世界を描くという点ではいかにも映画ならではの面白さはあるし、内容的にも段階的縮小手続きといったSF観や、内部工作員の暗躍というスパイ活劇的なプロットも含まれていて割と欲張りな作品という印象。

とはいえ冷静に考えるとツッコミどころは多数あるのだけど…。
静脈の血球が青いとかはイメージが先行しすぎだし、リンパ管から内耳~脳内ニューロンの隙間~視神経~涙で脱出という行程もかなり強引な感じ。
血漿の粘性の中で果たして人は泳げるのか? しかし最も納得がいかないのは白血球に喰われた博士や潜航艇は元の大きさに戻らないの?という疑問。
この辺はご都合主義だよね。
まあ1960年代の作品という事を考えれば、発想の面白さに魅力を感じるSF映画だとは思うけれど。

ちなみに原題は"FANTASTIC VOYAGE"で空想的作品であるニュアンスが強いかな?
邦題の「ミクロの決死圏」は、原題とはニュアンスが違うものの個人的には悪くない思う。
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