てっちゃん

ファウストのてっちゃんのレビュー・感想・評価

ファウスト(1994年製作の映画)
4.4
かなりのお久しぶりのヤンシュヴァンクマイエル先生。
かなり久しぶりなのに、観た瞬間に”これめちゃ好きなやつ!”感よ。
シュヴァンクマイエル先生は、ざっくり言うと”芸術家”って感じなんだろうけど、そんな言葉でおさまるような方ではないのは周知の事実でしょう。

本作は、実写(想像している実写なんかではないです。先生の頭の中での実写です。)と人形劇(人形劇学科(そんな素敵な学科があったなんて!)卒なんですね)にクレイアニメなどのストップモーションアニメーションを組み合わせた先生ならではの作品なんです。

なんといっても効果音が本当に大好き。
ぐちゃってつぶれたり、とことこ動いたり、妙にグロテスクなんだけど現実味もあって、わざわざ耳に残るような音を作ってくるあたり、最高でしょ。
もうね、この世界観にばちっとはまる人には堪らんわけで、私は漏れなくその1人になったわけです。

それでは印象に残ったシーンとか。

・ちゃんと火消すとこかわいいな
これかわいすぎ。段々とまたかよ、、みたいな感じになっているとか最高。

・道化と悪魔の攻防戦
どんだけ繰り返すんだ!って思ったけど、癖になるやつ。悪魔の、叫び声?が最高。

・ワイン舐めのところ良かったな
ここ好き。細かいとこ気にすんな!みたいな感じで最高。
気になっていたおっさん連中も、もらおうとするところからの流れも最高。

・口元接写のエロス
先生が”変態”と言われる所以を見せつけるショット。ただの口元がとてもエロい。最高。

・悪魔の口から出る小悪魔
気持ち悪いけどかわいい。要は最高ってこと。

・天使の首から出る小天使
おいおい、、って感じだけど、かわいいよね。漏れなく最高。

・砕いたり折ったり犯したり
人形だからグロくない?そんなことなくて、人形だからこその無機質さ、異様な動きが気持ち悪い。
これらをあちこちでやっているので、ものすごい光景になっているわけです。最高。

・悪魔に身を売ってからは操られている
ここすごく好き。説得力倍増シーンであり、そういうことだよなと納得シーンでもある。
はい、最高です。

・ちょこちょこ動くのがかわいい
これ本作の全般で言えるけど、いちいち動きがかわいい。
次の日、身体上下させながら小走りしてみたくらい。
するとこみ上げてくる作品への思い、最高。

・これぞ正真正銘のラブドール
女装?した悪魔と主人公のセックスシーン。
こんなシーン観たことある?予めドリルで性器をつくっておくという変態準備。
本当に「ほえー」と感嘆の声が出てしまったくらいに最高。

・ラストシーンの秀悦さよ
伏線回収が好きな方におすすめしていくらいに素晴らしい秀逸さ。
ぱん!っと繋がって、その爽快感と気持ち悪さが最高。

もう、最高しか言葉が出てきませんよね。
人間と人形、神と悪魔、現実と非現実、操ると操られている、意識と無意識、、、
それらを混在させて、先生の世界観へ見事に落とし込み、主人公と同様に我々もその世界に迷わせる。
しかも分かりやすい”アート表現”として作り上げていく。
いやあ、大好きな作品に出会えました。

言う間でもないが、原作はゲーテのファウスト。
原作未読なので、この長編古典をいつかは読みたいなと思うけど、読まんでしょうな。
てっちゃん

てっちゃん