ファウストの作品情報・感想・評価

ファウスト1994年製作の映画)

FAUST

製作国:

上映時間:97分

3.8

「ファウスト」に投稿された感想・評価

nknskoki

nknskokiの感想・評価

3.9
天使と悪魔に誘惑される博士
原作は有名なゲーテの「ファウスト」

「俺がお前の導きで学んだものは大と小とは同じコインの裏と表ということだ。たとえば象。象の巨体もノミの体も命の器としては同じ。だが俺が知りたいのは生命の潮流を統べる道理と力だ。上っ面ではなく奥の奥だ」

ヤン・シュヴァンクマイケル
彼の映画は手軽に哲学のお勉強ができる
だけどほんと大事な所は長ゼリフが多いな

「——生命を統べる道理と力?目に見えても理解できないものもある」
「——なぜだ?」
「——言葉の領域の先にあるからだ。人は言葉で表せるものしか認識できない」
「——何だと?人間より言葉が優るというのか?」
「——そのとおり」
「——では憧れや愛や苦痛や嘆きはどうだ?胸にたぎる言葉にできない思いの数々は?」
「——霧のように実体がない」
「——それなら人間は気体なのか?ではなぜ俺の心は渇く?言葉では言い表せないものを求めて」
「——お前の渇きは傲慢さの裏返しだ。遠くを見ずに人並みに生きろ。寝て食って飲んで人並みに満足すればいい」
「——このウソツキめ!どこにある?お前が見せると誓った宇宙の真理は?どこだ?」
「——お前が踏みしだいた草の葉の一枚一枚に」

みんなも"言葉は大切に"とよく教えられてきたとは思うけど

「雨」一つとっても、英語は「rain」と表すだけだが日本の辞書には「時雨、秋雨、氷雨、霧雨、五月雨、、、」と数多くの表現方法がある
いまこの世界に「雨」という言葉しかなければこれらの情景は全てただの「雨」と表現するに留まる
時雨という言葉の無い国には"時雨"という微妙な情景を知ることができない
言葉があるから世界がわかるのである
(それでも宇宙は言葉で言い表せれないものの方が多いが)

言葉を大切にインプットアウトプットできないと渋谷の女子高生ギャルのように「ヤバいー」「カワイイー」としか世界を表現できなくなる
"時雨"という美しい情景をただの「雨」としか表現できない世界は豊かではない

このレビューはネタバレを含みます

ゲーテ戯曲「ファウスト」恥ずかしながら知識皆無の為
詳しい事はよく分からないけど表現がすごく好き。
まずそうなスープと口元
バレリーナの際どい太ももなど絶妙なエロさとクレイアニメ
ブルブル…鳴る恐ろしい悪魔の唇と歯
砕け散る天使など
内容は異なれど映像表現が大好きなドンファンのような世界
悦楽共犯者の男性の登場には笑った。
shinobu

shinobuの感想・評価

3.7
ゲーテの原作で知られるファウスト。手塚治虫先生のファウストしか読んでませんが、メフィストフェレスとか断片的に知ってたのが良かった。観る前にウィキペディアでも良いのでファウストの話を入れてくといいかな。

一応こんな話(らしい)

プラハ。謎の地図を得た男は芝居小屋へたどりつく。楽屋にあったファウストの衣裳をまとい、『ファウスト』を読みあげるうち、男は罠に落ちようとしていた……。芝居小屋で上演される『ファウスト』。食堂に入った男は謎の二人組が残した鞄の中にあった道具一式でメフィストフェレスを呼び出してしまう……。芝居小屋を出た男は人間の片足を持った老人に誘われるまま、いつしか『ファウスト』の舞台に立っていた……。観客の拍手。いつしか木の操り人形と化した男とメフィスト。血の契約を交わした彼はファウストとなり、地獄へ天界へ。好奇心が満ちた後、後悔の年が襲い、天使によって悔い改めようとするが、メフィストは「契約が切れた。魂をもらう」と聞かない……。呪文の書を燃やし、逃げ延びるファウスト。芝居小屋の入口。入ってきた男の手には謎の手紙が。外へ飛び出したファウストは車に轢かれ、老人が片足を引き抜いていく……。

とにかくCGでは出せない薄気味悪さが素晴らしい。
モンティパイソンのコントでも切り絵アニメ出でくるけど、昔からああいうのが好きだったので、とても楽しめました。
今までに見たシュヴァンクマイエルの長編の中ではいちばん好き。
悪魔に魂を売ったファウスト博士のお話。
飛躍したアニメーションがおもしろすぎて気を取られ、初めて見たときにはまったくストーリーがわからなかった。ゲーテの原作を買ってみたんだけど、わぁ!全然違う!と面食らって早々に挫折した(こちらは死ぬまでに読破することにしよう)。

相変わらず食事のシーンがきわどい。鶏の糞を片付けた直後に出てくるパンとか、そこから卵が出てくるとか。あの、パンの上にのせていたパサついたフルーツみたいなのはなんなのかな?
樽から噴水のように吹き出すワインもちっとも美味しそうに見えねぇ…。

鉄の板をびらびらさせた雷鳴の中登場するメフィスト、なんか思ったよりお茶目で弱そう。呪文で出たり入ったりさせられてかわいそうになってきますが、契約はきっちり守ります。
最後、おぅ…ってなった。
メフィスト、車に乗ってるんだね。悪魔は日常の中に紛れ込んでいる。
ゲーテのファウストの映像化

謎の人形、謎の呪文、謎の二人組、謎の人間の片足を持った老人、謎のがむしゃらにワインを飲むおっさん……

今まで見てきたシュヴァンクマイエルの長編の中では一番意味不明(最高)

クレイアニメの演出も健在ですが人形劇のシーンが多く存分に楽しめます。
amai

amaiの感想・評価

3.1
20分くらいまでかなり退屈だったけど、粘土で赤ん坊が産まれてからは割と引き込まれた。映像としては凄く好き。だけどもうなんかよく分かんない映画。疲れる。
mitakosama

mitakosamaの感想・評価

3.8
人生初のシュヴァンクマイエル映画が今作だったのは幸か不幸か。
当時劇場で観てブッ飛んだなぁ。ヤバいものを観てしまったと言う感じ。

実際シュヴァンクマイエル作品のなかでも群を抜いてヤバさを兼ね備えた映画だと思う。やっぱり“悪魔”というモチーフはこの作風に如何にマッチしていることか。

とにかく“禍々しい”の一言!

どこぞのオッサンがファウスト博士となりメフィストフェレスと契約するという内容。
街中で配られたチラシを元にどっかのビルの一室に行ったオッサン。
錬金術のようにガラス管の中で赤ん坊(ホムンクルス?)を創り出す。コレがクレイアニメで滅茶苦茶キモい。しかも身体が赤ちゃんのまま顔が老け込み骸骨になる。

さらに魔法陣で悪魔を呼び込む。

木彫りの操り人形である悪魔と天使の遣り取り。時にオッサンもファウスト博士のお面を被り人形劇に参加する。
この人形劇を操る者がいるんだが、それこそ“神”の暗喩なんだろうね。
悪魔の行動ですら神の手中にあるという解釈に他ならない。

オッサンは居るとも居ないとも判らない客の前でオペラを歌う。
これも“架空の舞台”に踊らされる暗喩だね。神の手腕とも悪魔の手腕とも解釈出来る。

で、シュヴァンクマイエル特有の繰り返しの演出の多用。
どこからか木彫りの人形の頭が転がってきて、舞台に上がる、退場してはまた呼び戻されるを長々と繰り返す。
これも、テンドンな笑いにもなってるし、それ以上にサブリミナル的に刷り込むような神経に障る感じもある。

ファウスト博士が血の契約をしたシーン。
契約書にサインした途端、木製の悪魔の人形の集団が、天使の人形の集団に一斉に襲いかかり、犯す。
うわぁ。こりゃヤベェ。禍々しいにも程がある。このシーンの薄気味悪さは目に焼き付いたわ。

とにかくストップモーションアニメも、人形劇も、おのおの特徴的な動きの固さが非人間的でそれがただならぬ雰囲気に繋がっている。

これほど“悪魔的なモノ”を具現化した映像は他に知らぬ。それくらいヤバい。
okp

okpの感想・評価

3.9
不正操作と世界の悪意。人間は不安を抱えながら、自由を求め、創造行為や反乱、魔術によってこれに反抗する。しかしそこに存在するのは自由を目指す解放だけなのだ。結局は悲劇的な運命から逃れられないが、いくらかはそれを筋の通ったものにしてくれるだろう。生が十分に楽しいということに、何よりも意味がある。(日誌より)
しがい

しがいの感想・評価

3.3
錬金術師ファウストの伝説を下敷きにしたメルヘンホラー。クレイアニメと操り人形劇がシュールで不気味な世界観を演出する。
ストーリーよりも映像アートを楽しむ作品だった。現実と幻想がめまぐるしく交錯し、意図の掴みにくい映像が続くため、(そこが味ではあるけど)ちょっと疲れる。
ファウストと呼ばれる男とメフィストフェレスの会話が印象に残った。

「ではなぜ俺の心は渇く?言葉では言い表せないものを求めて。」
「お前の渇きは傲慢さの裏返しだ。」
死ぬほどつまらなかった。苦痛だった。雰囲気だけ。話入ってこない。クレイアニメと実写の乖離を誤魔化すためのクローズアップのシーンがいい加減退屈だしくどい。同監督作品『アリス』は不思議で意味わからないなりに地に足が付き楽しめたがこれは突き放されすぎた。意味わからん。時間を無駄にした。ちょこちょこ好みの映像があったからそこは良かった。あとシュールで少し笑える場面があった。でもとにかく退屈。監督が自分に酔っててこっちには何も伝わらない。身を滅ぼすほどつまらない仰天の作品だった。
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