次郎

リズと青い鳥の次郎のレビュー・感想・評価

リズと青い鳥(2018年製作の映画)
4.9
アニメーション表現における一つの極地点。冒頭における2人が音楽室に向かう一連のシーケンスだけでもその演出の素晴らしさに泣き出しそうになる。アニメ本編より色彩を落とした幻想的なタッチ、歩幅や髪の揺れにまで意図の込められた山田尚子監督による演出、 そんな2人の靴音をも劇伴に組み込み、映像の展開に同期して進行するBGM「wind,glass,bluebird」の素晴らしさ。牛尾憲輔のサントラは学校の音楽室や生物室で様々な音をフィールドレコーディングしたものを組み込んだアンビエント性の高いものながら、これ以上ないくらいに本作の世界観を高めることに成功している。フォローしているユーザーで本作を50回以上劇場で鑑賞している猛者(しかも各劇場で聴き比べの感想まで残している)がいるが、その気持ちもわからなくはない…いやわからないかな…。

希美とみぞれ、どちらがリズでありどちらが青い鳥だったかは重要ではなく、エンドロールにおける2人の声優を見れば答えは出でいるようなもの。君はリズになってなれるし、青い鳥にもなれる。円環のように物語を閉じる展開の完璧さ含め、これ程までに圧倒されたアニメーション作品は他にない。
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