ふき

ザ・フライ2/二世誕生のふきのレビュー・感想・評価

ザ・フライ2/二世誕生(1988年製作の映画)
3.5
前作『ザ・フライ』のハエ人間ことセス・ブランドルの息子、マーティン・ブランドルを描くSFアクション作品。

お話は前作の続きだが、テイストは大幅に変わって勧善懲悪エンタテインメントだ。
エリック・ストルツ氏演じるマーティンは生まれたときからハエ男の遺伝子を受け継いでしまっているが、多少の揺れこそあれ一貫して正義の人間として扱われるし、共に行動するダフネ・ズニーカ氏演じるベスは良くも悪くもロマンスキャラクターで、リー・リチャードソン演じるバートック所長は完全に悪役としてのスタンスを崩さない。
お話もいわゆる「貴種流離譚」で、特別な血筋に産まれた子供が成長して親を殺す類のものだ。産みの親と育ての親を同時に殺すのが面白いが、それ以上でも以下でもない。
モンスターのハエ男も、生理的嫌悪感を及ぼすレベルの異形として描かれた前作と違い、本作ではゲーム『バイオハザード』のキメラのようにスタイリッシュな方向に振れ、殺戮の対象も今までマーティンを傷付けてきた人間に対してなので、マーティンサイドから見た本作は「ショッカーに対して仮面ライダーが反旗を翻す」と同等のアクション映画と言ってもいいだろう。

とはいえ、表面的には「フランケンシュタイン博士が怪物に襲われる」ホラー映画でもあるので、グチャグチャベチャベチャと赤い血肉が飛び散る楽しさ(?)も健在だ。むしろ前作よりも容赦がない分、グロの瞬間最大風速は本作の方が上かもしれない。ラストカットもあれだし……。

惜しむべくは、監督がクリス・ウェイラス氏に代わったことで(?)、エリック・ストルツ氏のお尻が拝めなくなってしまったことか。
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