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足りない二人のDDDのネタバレレビュー・内容・結末

足りない二人(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

細かい点が気になる性分としては、2人がなぜ積丹まで来なければならなかったのか。積丹に来てから何年も経っているはずなのに、その間ずっと泣かず飛ばすだったのか、などの2人の現在に至るまでの歴史が気になった。
そもそも、2人がコンビを組むきっかけも描写されていない。
また、現在としても冒頭の描写から三ヶ月時間が戻り、終盤また戻ってくるため、今作は基本2人の三ヶ月間を描いているはず。
それに対して、映画の序盤では連載を持っていて締め切りがあったはずなのだが、後半は新作にばかり注力し連載が描写されなくなっていく。
また、楓子の派遣が更新されない件も、通常一ヶ月前には告知されるはずで、失業はもちろん困るとはいえいつの何に2人が頭を悩ませているかはっきりしない、などタイムライン的に気になる点があった。

とはいえ、2人が現在漫画製作で頭を悩ませている様子は、共同監督をしている主演2人の様子とそのまま重なる。
自分たちが欲が深いと結論づける一連の下りは、映画を見てアウトプットせずにはいられなかったりしたまま三十代半ばを迎えた私にも思い当たる節はあり、2人の言い争いも含む言葉は痛切に突き刺さった。
また、2人が住む家の中に洗濯物が干してあったり、2人でお風呂に入ったり寝たり生活シーンの描写力が高い。
そして2人で食べるスパゲティなどの低予算ご飯をはじめとして飲食シーンが多いのも特徴的だった。
積丹の雪深い冬もカメラはとらえており、2人で漫画を描きながら生活している様を切り取ったような映像の構築力の高さは素晴らしかった。
合間に入る2人で描いた漫画や、絵を描く様子の描写の確かさも、作品を支えている。
そして2人の言い争いのぎすぎす感やそこで放たれる言葉は、いささか直截的にも感じられるが、生々しく印象に残る。
この2人の監督が撮影当時にしか撮ることができず、また内発的に撮らざるをえなかった作品だと、強く感じた。
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