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映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~のsomaddesignのレビュー・感想・評価

5.0
和製「モンスターズ・ユニバーシティ」
どんなに努力しても追いつけない才能の差、
地道に腐らず水をやり続けることの意味についての傑作。

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(繁忙期に入って心弱りがち。映画見るペースも感想書くペースも落ちてしまった😫)
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ここ数年。橋本昌和監督と高橋渉監督の交代制で作られてる気がする劇場版「クレヨンしんちゃん」シリーズ。
今作は「ロボとーちゃん」「ユメミワールド」の高橋監督作で、オッサン殺しな感動路線が多い気がする。

野原一家の大冒険モノが続いてた劇場版シリーズにあって、久しぶりの春日部防衛隊モノで、完成しきったキャラクターたちが今更どう友情を深め、成長していくのかが焦点。

陽キャなしんちゃんがいつものように大活躍する一方で、女々しく優柔不断・何をしても成長の遅いマサオ君を裏の主人公とする今作。どんなに努力しても追いつけない『才能の差』としか思えない力量の壁にブチ当たった経験のある人なら、誰でも共感できるハズ。
「モンスターズ・ユニバーシティ」で描かれてた「なりたい自分となれる自分は違う」「努力が必ず報われるとは限らない。が、絶対にその努力は無駄じゃない」ってメッセージに対する日本アニメからのアンサーみたいな。

才能があったらあったで、身を滅ぼす/孤独になることもあるよって話でもあって、人との繋がりを絶やさず身分相応な努力を腐らず続けることが何より大事じゃない?ってテーマは「夢は必ず叶う!」とか「努力は絶対報われる!」って無責任に背中を押す言葉より随分誠実で正直だと思う。

とはいえ子供にすれば、誰だって自分が特別な存在で親から無条件に愛されてるのが常で、自分が平々凡々な取り柄のない人間であるのを認める方が難しいわけだけど。

意外に秀逸な伏線の回収があったかと思えば、ANZEN漫才の二人が全然上手くハマってない感じとか、大オチが強引すぎてドッチラケる。プラスポイントとマイナスポイントが交互に襲ってくる感じ。
関根勉さんのユエン・シャオティエン(酔拳の師匠ね)オマージュなカンフー師匠役がハマってて、エンドクレジットまで誰だか分からなかった。


GW直前に子供らに混じって、ギャーギャーわめきながら映画館で賑やかに見てこその劇場版シリーズ。今年も楽しかった!

ちなみにユエン・シャオティエンの息子ユエン・ウーピンは映画監督・アクション監督として大成。のちに「マトリックス」シリーズや「キル・ビル」シリーズのアクション監督も担当したのは有名な話。

31本目
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