完璧なものが汚されていく
苦さがあった。
お互いの首を絞め合う
独占欲と言う名の
ふたりだけの
恋愛マウンティング。
アンダーソン監督の
心理描写が憎々しい。
（褒めてます）
英国上流社会に君臨する
売れっ子仕立て屋が
若いレストラン店員に惹かれ、
家に入れ、ミューズとし、
そこから
ピアノの旋律のように
美しかった生活に
不協和音が生じる物語。
刻むシーンとそのアングルが良かった。
不穏さも良かった。
ドレスはどれも素敵で、
イギリスらしいというのだろうか
ちょっとエッジも効いていて、眼福。
布を断つ音にトキメク。
美しいものを作る人には
心乱されることなく
打ち込んでいて欲しい。
常々そう願っているからか、
歪んだ愛の着地点が
真っ直ぐ入ってこない苦しさ。
洗練された世界とダニエル・D・ルイスは
よく似合うな。
引退だなんて、なんだか残念。
