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ファントム・スレッドのはまたにのレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
4.2
ポール・トーマス・アンダーソン式、歪な愛の採寸劇。

強迫観念的なデザイナーの男は全ての正確さの上に美を宿らせたい。独占欲の強いモデルの女は「私の測り方で」それを成したい。

男は最初の会話で明かした自身の確信を曲げ、女のサプライズを飲み込む。どちらも等しく狂っているが、余人の介す島がない。

この作品がすごい(怖い)のは、狂気が純粋さの表れとしては描かれていないこと。そんな安易ではない。毒と知っての2人の行為は、行き着くところまで行き着いた男女の共犯関係なのである。清濁併せ呑んで清、みたいな、愛憎全部ひっくるめて愛、なのである。格調高く大人の愛の究極型みたいな描かれ方しているけど、こりゃあとんでもない代物ですよ、ダンナ!(いきなり誰だよ)

そんな物語を彩るジョニー・グリーンウッドの“オープン”で“素直”なスコアも耳に残ってよかったです。作品の特性を思えば、やたらと素敵に作ってあるのは「そちもワルよのう」感あるけどね。

とりあえず、食事どきに音立てる奴ぁ自分も嫌いです! つーか、こんなに怖い作品だとは思ってなかったよPTA! ダニエル・デイ=ルイス、俳優業おつかれ! 引退後は何すんねん! 今度遊ぼーぜ!
(私式、いびつな映画レビューの終わり方)
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