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日日是好日のhirogonのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
4.0
エッセイストの森下典子の、お茶を通して描く半生記。

茶道の武田先生(樹木希林)と典子(黒木華)の関係が、温かくていいなあ。

立ち居振る舞い、袱紗や茶器の扱いなどの茶道の基本的な所作の説明があるので、始めは典子らと一緒に茶道入門編。詳しくなくても楽しめます。

茶道の所作が美しいです。武田先生の言葉、
「お茶は、まず『形』から。先に『形』を作っておいて、後から『心』が入るものなの。」
”決まりごとだらけのお茶の世界”だけど、「頭で考えないで、自分の手を信じなさい」


(以下、ネタバレ)
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典子は、大学生の20歳の時に、母の勧めで毎週土曜に近所の武田先生の所へお茶の手習いに通うようになる。
始めは熱心ではなく、従姉妹の美智子(多部未華子)に引っ張られるようにして通い始めるが、いつしか典子はお茶を好きになっていく。

武田先生と典子と美智子。
序盤、お茶を習い始めた頃の三人の様子は、予告編でも流れてましたが、クスっと笑える場面が目白押し。
でも、いつしか時は流れ気がつけば24年。その間、色んな出来事が起こります。

悩んだ時、迷った時、戻るべき場所。心を落ち着かせてくれる場所。
典子にとって、それが武田先生が待っていてくれる茶道教室。

武田先生の茶室の床の間には掛け軸が飾られています。
季節や人生の機微に因んだ言葉が綴られた掛け軸。
武田先生は、季節の折々に掛け軸を取り替えて、茶室の雰囲気を作っています。
最初に登場する言葉が、「日日是好日」(こちらは、確か額の言葉だった)。味わい深い掛け軸にも注目です。

あと、武田先生が出す茶菓子は、どれも美味しそうでした。

エンディングでの武田先生の言葉、
「今年も初釜を迎えることができました。最近思うんですが、毎年同じことの繰り返しですけど、こうして毎年同じことが出来るってことが幸せなんだなあって」
まさに樹木希林さんの実感だったのかも。本作が遺作となったことを思うと感慨深いものがあります。

森下典子さんの原作本も、映画観賞後に読もうと購入済み。映画を思い出しつつ読書中。
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