アズマロルヴァケル

68キルのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

68キル(2017年製作の映画)
3.3
頭を軽くして観ないと分からないアクションスリラー

・感想

この映画は『NERVE』や『13の選択』を彷彿とさせるシチュエーションスリラー『ザ・スリル』やゾンビに強姦する若者を描いたスリラー『デッドガール』の脚本家であるトレント・ハーガが脚本兼任でメガホンを取った作品であり、どちらかと言うとアクションコメディのようなつくりの映画でした。

映画は女に弱い気弱なチップがヤバイ女を振り切って成長するといった話であり、正直言ってライザとモニカがこれでもかとイカれていて、自分としては頭では理解できないほど狂っていました。特に、ライザが知人のケンを背後から躊躇なく殺す様は見事だし、モニカに関しては友人のエイミーやリロイとヤクを槍ながらチップに拷問するのはトチ狂ってて
もう凄いです。

唯一まともなのは、ケンに性の道具扱いされて事務職として雇われていた黒人の女性ヴァイオレットで、まあライザ同様裏ではヤバイ女なのかなぁと匂わせる描写もあるんだけど、結局はうまく表現できないのですが、ドラえもんのしずかちゃん?のようにチップを尻に敷きつつもチップの原動力になり得るいい女ではあったと思いました。私としてはもしチップだったらこういう女がいればなぁ思いますが、大抵はメンタルが弱くて悲鳴をあげて泣いてしまいそうな女性か、サバサバして可愛げがない女性だったりと異なるタイプの女性に遭遇してしまうかも。

その一方で、トレント・ハーガさんのアイデアがどうなったらこの映画を製作したかは分かりませんが、ライザの知人であるケンの金庫から6万8000ドルをライザとチップが盗んで、そこから盗ったり盗られたりされてしまう展開はあまり肩入れできないがまあいいとして、個人的に演出が合っていないせいか、コメディ要素が効いていない気がした。例えばチップがモニカにお金を盗られた時に『チクショー!』とモーテルで叫んで焦るシーンは笑いどころではあるけどどうしても笑えず、ライザがケンを背後からナイフで殺したときに見せるチップの驚いた表情はライザの狂っている様子にビビる様を見せたいのか、それともチップの顔芸で観客を笑わせたいのかがどちらかどっちつかずで混ざっていたので、笑えたのは笑えたけど微妙な気持ちにはなった。

あと、全編に渡ってチップの主観で描かれているのでしょうがないかもしれないが、もう少しヴァイオレットやライザの兄のドウェインの見せ場をあと少しだけ観たかった。ドウェインは映画ではスプラッター要因だし、ヴァイオレットは唯一映画のヒロインとしてはまともに動いている方なので個人的には前半でライザがチップを追いかける際に起きたライザの滑稽な行動をするシーンだったり、エロさがないケンとのセックスシーンを最低でも省いて脚本を練ったらうまく活躍を広げれたと思う。

とはいえ、ドウェインがラストにモニカの友人のエイミーのはらわたを裂いて殺すシーンなんかは描写されていないけど
最高だし、後半で網タイツ越しにモニカがおっぱい丸出しに露出したりとエンタメ性は充分にある映画だった。結果的にチップがヴァイオレットの仇討ちをしたこともあってちょっとスカッとしたのでまあまあ良かったです。

でもチップがまた配管工の仕事をするのかどうかが疑問でならんかった。