バス行っちゃった

劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel II. lost butterflyのバス行っちゃったのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

奇しくもアイ・フィール・プリティのあとにこれを見ることがてきたので、人が機能や役割で扱われることについていくらか深く考えることができたつもりになれたりして、ジャンルを横断できることも劇場鑑賞の醍醐味だよなあなどとか。

前回は名も無き人の暮らしが映像化されていないように感じて、それでは伝奇物の醍醐味も、主人公がなぜ理想に殉じなければならないのかという悲壮感も味わえないので残念だ、みたいな感想を持ったのだけど、今回はその部分がいくらか補強されていて、主人公が理想よりもヒロインを選んだ場合に犠牲となる名も無き人たちの顔がはっきりと映し出されたことによって、その決断がどれほど重たいものであるかが誠実に表現されていたように感じた。

ただ、見ているこちら側は惨事を知っているので主人公の決断の意味を感じることができるものの、主人公当人としては、過去自身が経験している惨事が心象風景として焼き付いているというのはあれども、ことこの話においてはヒロインが惨劇を振りまいている現場を直接見たりしたわけではなく、ニュースなどで間接的に知ったようなイメージになってしまっているので、これでは犠牲も辞さない決断というよりは流されただけという風にも見えてしまうなとは少し。

仮に悲劇を目の当たりにしてなおの決断であったとしても、愛しい人という機能・役割からヒロインとの未来を選んだことは、聖杯という機能のために彼女の人生をめちゃくちゃにした人らのそれと本質として変わりはないとかなんとかいうようなことについて最終章では触れるのか、それともヒロインだからの一点張りでいってしまうのか、せっかくこういうテーマでやっているのだからなにがしか見せてくれるのではないかと期待しつつひとまず待機。