アラサーちゃん

天国の口、終りの楽園。のアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

天国の口、終りの楽園。(2001年製作の映画)
4.0
🎦
「天国の口、終わりの楽園。」
高校を卒業し、堕落した生活を送るテノッチとフリオ。それぞれの恋人がバカンスに出て暇を持て余す中、ふたりは美しいスペイン人女性ルイサと出会う。ルイサはテノッチの従兄弟ハノの妻であったが、ハノの浮気を知ったルイサは、彼女の気を引くためにふたりが口から出まかせで言った「天国の口」のいうビーチに連れて行ってほしいとお願いする。願ったり叶ったりなふたりは有頂天で彼女を連れて旅へと出発するのだが…。2001年、墨。

観ましたー!笑
エロ8割やと思ってなかなか手を付けられなかったこれまで。なぜこんなに観たいかというと、若かりしディエゴ・ルナが出ているからだ!(大親友のガエル・ガルシア・ベルナルもね!)
めっちゃ若い。若すぎて20歳越えてると思えない。身長低いからかな。役柄的に野暮ったいからかな。なんかもうあどけなくて。下ネタで満面の笑み浮かべてるのとか。

でもこれまで観なかったのほんとに悔やんだ。アホかと思った。すごく良かった。

ヤクとセックスに溺れる17歳。金だけは有り余り、でもどこか満たされない何かを抱えたままダラダラとした毎日を過ごすテノッチとフリオ。
そこに現れる年上美人ルイサ。彼女のどこか哀愁を帯びた空気に惹かれたふたりは、なんとか彼女に近づけやしないかとありもしないビーチ「天国の口」に行こうと提案する。
愛する夫の手前、若者の誘いを断るルイサ。しかし、夫から浮気の告白をされてしまう。傷心したルイサは彼らの提案に乗ることにし、ボロ車に乗ってまだ見ぬ「天国の口」に向かう。

こんなん、若い男ふたりと一緒に旅したらセックスなんて確じゃないですか。笑
それでも提案に乗ったわけ。あの時この時のルイサの選択。心の傷に毎晩のようにひとりで泣く姿。
もう一度観たくなるね。映画を観終えた今、ルイサの気持ちになって改めてこの映画をもう一度観てみたい。

ネタバレになってしまうけど、ラストの感覚は「スタンド・バイ・ミー」や「マイ・プライベート・アイダホ」「セント・エルモス・ファイアー」に似てるかなあ。観たあと残るものがね。そこらへんの映画をふと思い出した。そこでのリバー・フェニックス率。笑
なんていうか、若い時代はどんなに煙たかろうが、汚かろうが、キラキラ輝いていて、それ以降どんなに綺麗な人生を歩んでも、そのときを超えることは絶対にないんだよね。

あとはロードムービーのなかで、メキシコのあらゆる風景が映しだされているのも素敵だった。
決して豊かではない国。でも人々の心が豊かな面もあるし、社会的にまだ完成されていない面もたくさんある。それらがさりげなく、何気なく映しだされていて、きっと国の中しか知らない人々には当たり前の光景、でも、それらを初めて見る人にしたら心に深く刺さるものがある。

監督も素晴らしい人。「ゼロ・グラビティ」の人。
テノッチとフリオはよくダイブして競争する。まだ旅に出ない序盤は、テノッチの父が管理するクラブのプールで、時には飛込台の上で並んで自慰行為に励みながら。
その時、彼らは深く深く潜る。えっ、ってちょっとビックリするくらいだった。
でも、その後のいくつかの潜る描写を見てなるほどと思う。最後は「天国の口」で、ルイサは出会った現地の子どもと遊んでいる。「死んでいるみたいに浮いてみて」沈むことなく、ぷかぷかと小さな少女は水面に浮かんでいる。

最後の終わり方、ホント好き。
久々にハッとするようないい映画に出会いましたな。満足。