KnightsofOdessa

白いトナカイのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

白いトナカイ(1952年製作の映画)
3.5
[フィンランド、雪原のフォークロア西部劇] 70点

ニルキ・タピオヴァーラの作品に撮影監督として携わったエーリク・ブロンベリによる初監督作品。カンヌ映画祭コンペ選出作品。物語は雪深いフィンランド奥地の村でトナカイ飼いと結婚した女性が、新婚早々に出張ばかりで留守がちな夫の愛を取り戻そうとシャーマンの力を借りたせいで吸血トナカイになってしまう、という吸血鬼と狼男を足したようなフィンランド民話を基にしている。満月を背景にうなされながら白いトナカイに変化する妖艶な主人公ミリヤミ・クオスマネンの表情で物語を言葉少なに引っ張っていくのが良い。『Laila』のときも思ったが、雪原を舞台にしているだけで、投げ縄でトナカイを捕まえるたりしているので、精神は西部劇に近い。終盤で白いトナカイに棒立ちでナイフを投げつける老婆が一番強い。『マクベス』の"女の股から生まれた者"みたいに"トナカイ飼いで勝てる者はいない"という予言だったので、てっきりこういう無関係な人が殺すのかと思ったが、普通に考えたら夫だよな。
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