しゅんすけ

恋は雨上がりのようにのしゅんすけのレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
4.1
「恋は雨上がりのように」

観た後もぜんぜんダレることなくさわやかな気持ちで観ることができました。コミックもアニメ版も全く観たことなかったけど、全然OKでした。

まず、OPで遠景から主人公・あきらのいる教室の窓へとぐんぐん寄っていく。あきらに片思いを寄せる男の子を軽くかわしたあと、全力疾走で走り出す。ここで神聖かまってちゃんの曲をカバーした「フロントメモリー」が流れて、そして画面に大きくバンッと「恋は雨上がりのように」。つかみがばっちりでした。

そこからは背中越しの撮影からの長回しでファミレスのバイトシーンなど「流行りのカメラワークやってみました」感はあるけど、いろいろ工夫がこらされてて楽しい。それ以降は、凝った映像表現とかは特にないんですが、丁寧に店長とあきらのやりとりが描かれていてよかったです。

小松奈菜はかなり適役。短距離選手としてのリアリティとかはさておいて、クールな感じ、ミステリアスな感じ、不器用そうな感じがかなりはまっていました。店長をみるときの目とか、睨んでるようにも、一途にもみえて、絶妙でした。

ただ、今作で輝くのはやっぱり大泉洋でした。
嫌味のない、さえないけど嫌いになれない中年といったらもうハマり役でした。戸次さんも出るので、ただのTEAMNACSの会話にしか見えない居酒屋のシーンはちょっとにやっとしました。

これは原作からの魅力なんでしょうが、店長の言葉選びがいちいち良いなと思いました。本の虫だったからこその言葉の知識、そこから出る気遣った言葉のかけ方などがすごくいいなと感じました。かと言って、そこまで台詞が多すぎることもなく、説教くさくならないのも好印象でした。

しいて言うなら、清野菜名さん演じる同級生はさすがに高校生に見えなかったというか、なんか顧問の先生に見えてしまいました。運動神経抜群だからこそのキャスティングかとは思ったんですが、ちょっとそこは気になりました。

終わり方も「あ、この映画って恋愛中心の映画じゃないんだな」っていう感じがして、ブツ切り感を感じる人もいるかもしれないですが、嫌味もない良い終わり方だったと思います。期待せずにフラッと見たら、結構おつりがもらえたような感じの映画です。おすすめです。