子持ちのカイロレン

ミッシングの子持ちのカイロレンのレビュー・感想・評価

ミッシング(1982年製作の映画)
5.0
10年ぶりぐらいに見直し。

1973年にチリで起きた軍事クーデターについては、この映画を観て初めて知った。
数千人の人々が拷問され殺された大事件を裏で操っていたのがアメリカで、今もってそれほど事件の大きさの割に有名でない気がするのは、自分が歴史に疎いからか。。

チリで何千人が殺されようが、人って信じたくない事実からは目を背けるもので、この映画の父親も自分の息子がチリで行方不明になったっていうのになかなかアメリカ大使館の言い分を疑おうとしない。
そんな頑固親父の心情変化にカタルシスを覚えそうになるが、きっかけがこの大虐殺ってことで行き場のない思いに振り戻される。

軍部による粛清があくまで間接的に描かれ、恐怖映画としても一級品。
ラストの競技場のシーンは10年経ってもなんとなく覚えていて、その原因は天井を見上げるショットの強烈さだった。