ぱっと見、軽めの作品に見えるのだが、そこはしっかりとした作品作りが基本の韓国映画。詐欺師が詐欺師を騙すというコメディ寄りな愉快痛快な作風の中にも、社会的なものを取り入れた考えさせられるテーマがあってずしりと響く。そもそも詐欺は犯罪。日本のオレオレ詐欺もそうだが、どこの国であっても被害者はほとんどが弱者。人の善意や弱みにつけ込んで大切なものを奪う詐欺は許されない行為だ。そういう大事なことをすっ飛ばさず、詐欺そのものを悪として描く作品性に感心させられる。詐欺師をかっこ良く描くだけの軽い作品としない所が韓国映画らしい。キャストも非常に豪華で見応えがある。『コンフィデンシャル共助』のヒョンビンが主人公の天才詐欺師を演じているが、作品ごとにがらりと雰囲気を変えて凄いなと思う。脇を固める演技派揃いの中で紅一点のナナも光っている。アフタースクールという女性歌手グループのメンバーで、世界で最も美しい顔１００人で２年連続１位を獲得した美貌の持ち主。本作で初めて知ったけど、検索したら確かに美人！！劇中ではそこまでには感じなかったのだけど、むしろキャラに頑張って寄せていたんだなと。凄い演技力があるわけではないのだけど、愛らしさとセクシーさで作品に華やかさを添えていた。韓国映画は一定のパターンがあるように見えて、作品ごとに新たな驚きと発見がある。作品性も幅広いし、キャストも層が厚くて全く飽きないな。
