マヒロ

できごとのマヒロのレビュー・感想・評価

できごと(1967年製作の映画)
3.0
(2024.3)
大学教授のスティーブ(ダーク・ボガード)は、自宅の屋敷の前で自身の教え子であるウィリアム(マイケル・ヨーク)が恋人のアンナ(ジャクリーヌ・ササーヌ)を乗せた車で事故を起こす現場を目撃する。助けに向かったスティーブは、その場で死んでいるウィリアムと生き延びていたアンナを発見するが、警察にはウィリアムの単独事故と通報して気を失ったアンナを家に置いておくことにする。実は以前からアンナに惚れていたスティーブは、彼女の出会いから起きた出来事を回想していく……というお話。

ジョゼフ・ロージー監督×脚本ハロルド・ピンター×主演ダーク・ボガードという『召使』と同じ組み合わせで撮られた作品。
主人公であるスティーブは、はるかに歳の離れた教え子の恋人を気にしつつも、周りの目を気にして何も出来ずに太ももを盗み見たり、ウィリアムを食事に誘うというていで「アンナも連れてきなさい」とか言って家に上げさせようとするなど、なかなか陰湿な気持ち悪さを見せつけてくれる。この横目でずっとチラチラ見てる感じがダーク・ボガードが同じく主演していた『ベニスに死す』を彷彿とさせるところもある。
アンナの方も実は別の教授チャーリーと浮気をしており、おまけに留守と知り勝手にスティーブの屋敷を逢引きの現場に使ったりとなかなか大胆で、チャーリーも自分がテレビに出ていることを鼻にかけてスティーブをバカにしている節があったりと、中心人物がそれぞれ微妙に嫌な奴。割と迷惑を被りつつそんな人たちに何も言えないスティーブも情けなく、唯一マトモとも言えるウィリアムはさっさと死んでしまうのでダメ人間博覧会みたいになっている。

そこら辺の人間関係のしょうもなさを笑う作品だとは思うんだけど、どうしても『召使』の鮮烈さを期待してしまうところがあり、ちょっと物足りなさがあった。基本的に人間を信じていないイジワルなところはいかにもイギリスって感じで好きではあるんだけど、自分のツボにはハマらなかったかな。
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