アズマロルヴァケル

溺殺魔 セバスチャン・ドナーのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

3.4
「友達って何ですか?」なホラー

「未体験ゾーンの映画たち2018」上映作品

・あらすじ
1年前、マディソンパーティーで湖の桟橋でひとりになっていた時に落ちていた空き瓶で足を滑らせて湖に落下。そのとき夢の中で恐ろしい存在と出会ってしまうのであった。

以来彼女は極度の水恐怖症に襲われ、友人のハナは何故深刻に水恐怖症に襲われるのか理解出来ずにいた。そんななかコビーの友人キャスリンの協力でハナやコビー、ローレンといった友人と共に降霊術を試みることにした。しかし、キャスリンが霊の存在を訴える一方で友人たちは一向に霊の存在はおろかマディソンが怯えるある者の存在すら信じない。早速降霊術を友人たちとやってみた結果、マディソンはある者の存在に襲われるのを目撃する。幸い、マディソンは助かったもののそれはまだ序章に過ぎなかった。

・感想
まず、この映画を細かい事を気にしなければ楽しめることが出来、冒頭からラストまで殺人鬼セバスチャン・ドナーのどれだけ恐ろしいかというのが本編を観て堪能できました。ロン毛で水垢のような色をした身体、そして獣のような顔つきはとても殺人鬼の造形としては悪くなく、魅力的な感じではありました。

しかし、なんでこうなったのか?というのがあってならなかった。

まず、この殺人鬼に関してだが、今までこういう映画を観たので正直言って申し訳ないが、セバスチャンが何がしたいか分からん。どういうことかと云えば要はセバスチャンはある理由からマディソンに会いたいという感じだったのだが、マディソンが本当の目的なら責めてマディソンの友人を殺さないでくれと言いたい。それに殺される順番が明らかにイラッというか鼻についた感じで、霊を信じなかった友人を順番に死なせるかと思いきや霊を信じていたキャスリンが先に死んでしまうので可笑しい。そもそもキャスリンはハナのあとか先に死んだ方が救いがあったはずじゃないの?

あと、よくよく考えるとセバスチャン・ドナーははっきりと言えば死霊なのかそれとも実際に生きている殺人鬼だったのか、そしてマディソンの友人たちを水辺で連れ去ったあとにパラレルワールドみたいな場所で殺すからそのパラレルワールドみたいな場所は………と謎が深まるばかり。

何よりもハナが既婚者のはずなのに旦那が出てこないというのが最大の突っこみどころ。要は女と女の友情を描きたいのかなぁ……?と考えたいのですが、なんせキャスリン以外のハナやコビーが全然マディソンの耳に傾けなかったのでこれって「友達ってなんですか?」ってなる。実質、マディソンとキャスリンが友達になれば良かったんじゃと思ったんだけど、そういう展開はなく最後までセバスチャン・ドナーが怖いんだぞとしっかり見せる感じだったのでそこは手堅くやっても大事なキャラクター設定が手堅くなってないってのもどうよ……。

それでも、設定以外は今年のホラー映画のなかでは良作だったのでは。