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億男のkigumaのレビュー・感想・評価

億男(2018年製作の映画)
4.8
-お金にまつわる神曲

予告編ではもっとはちゃめちゃな映画の印象があったけど、非常に洗練されたシンプルな映画。
社会派の映画というよりは、古典的な青春映画。

物語の構造がダンテの神曲のように、ある人を訪ねて様々な世界をのぞき見る事で、お金の輪郭を徐々に削り出していく。
主人公が訪ねる4人の台詞それぞれの台詞にハットさせられ、、最終的にはどれもが間違っている。

素晴らしいのは主人公はお金と人生に翻弄されるのだけど、友達の九十九(高橋一生)に対しての気持ちはまったくぶれていない。このような物語ではとても珍しい。そしてカズオのその気持ちが、物語の強い背骨になっている。

美しい物語。
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