じゅーけん

未来のミライのじゅーけんのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
2.2
主人公の男の子くんちゃんが、不思議体験やいろいろな経験を経て「お兄ちゃん」へと成長していく物語を、子供視点から描いた作品。

子供って、ちょっと見ないうちに劇的に成長しているなと思うことありませんか?

子供には子供の世界観、価値観があり、全てはそれに基づいて行動している。
ワガママに駄々をこねたり困らせたり、大人から見れば意味のないことや些細なこと、取るに足らないことであっても、子供からすれば大事件だったりする。
日常のこと一つ一つが大きな壁であり、それを乗り越えることが成長への全ての糧になっている。毎日が大冒険であるからこそ急激に成長していく。

くんちゃんのように、周りの愛情全てを一身に受けてきた子に取っては、その愛情が分散したり無くなったりするのは、まさに生か死か程の大問題。
そんな心境の子供の叫びを描写しつつ、不思議体験によって心情の変化や壁を乗り越えるきっかけを表現しながら、少しずつ「お兄ちゃん」としての意識が芽生えてくる姿に、子供の成長プロセスを感じ取れます。

今まさに幼子の育児奮闘中の親御さん達は子供の気持ちを知れる育児バイブルとして、
お兄ちゃんお姉ちゃんの意識を持ち始めた子供たちは過去の自分達に重ね合わせて共感してみたり、
そして育児に大変だったあの頃を懐かしみたい大人達へと、
あらゆる年齢層の方に、ある意味いろんな目線から観ることの出来る作品ではないかなと思います。

ただ、あえて言うならば、
突然、不思議体験がなぜ起こるのか、見えるのかということの説明が全く無いので、そういうものだと納得することに多少時間がかかりました。
アニメだし、映画作品なんだから何が起きたって…と言えばそうなのかもしれませんが、現代の日本に時代設定されていて、あまりにリアルに表現されているだけに、突然の不思議体験をすんなり受け入れるのはちょっと無理があったように感じました。

ジブリの過去作でも現代っぽい舞台の作品がありますが
「魔女の宅急便」では魔女の存在が当たり前の世界という設定だし、「となりのトトロ」では森(山?)の守り神(妖精?)として、見える人にだけ見えるものがあるという設定が、物語の中に自然に組み込まれていて、その世界観にすんなりと入っていけたことを思うと、
この作品でも、そういう世界観の設定描写があっても良かったんではと思ってしまいます。

俯瞰的、客観的な感想は抜きにして、個人的感想を端的に言えば、
「駄々っ子の育児録」
という感じで、子供が苦手な私には、あまりにも不快な時間も多かったなと(笑)
子供嫌いな方にはあまりオススメできないかなと思います(笑)


子供嫌いなので好みではなかったことと、不思議体験への説明が無かったことが大きく引っかかってしまい、低めの点数となってしまいました。