堤監督がケレン味なく、ベタな撮りかたをした啓発映画。
わかりやすい説明と状況など、オチのつきかたなども原作のメッセージを生かしたのだろう。
夫の職業も「設定」なのだが、冒頭のシーンの関連もフィクションだからこそで、そこになんとも言いがたい恣意性を感じてしまう。
心臓死と脳死、脳死の判定、ドナーの意思表示などテーマはいくつもある。それを文章で示すとわかりやすいが、映像付きのセリフで見せられ引いてしまった。
スペインのアレハンドロ監督は『オール・アバウト・マイ・マザー』や『トーク・トゥ・ハー』で臓器移植や脳死の問題を描いたが、LGBTも絡んでいたり、親子の確執を内包したり、直球でなさそうで感動的に仕上げていた。
そんな映画を見ていたこともあり、いまひとつのれなかった。
しかし、映画館には次々と女性たちが来て、満員だった。
おそるべし。