チッコーネ

トム・オブ・フィンランドのチッコーネのレビュー・感想・評価

トム・オブ・フィンランド(2017年製作の映画)
3.5
戦後激動の時代を生き抜いた、フィンランドのゲイ・アーティストの伝記映画。

ソ連とドイツの狭間で苦戦を強いられてきた歴史を持つ、フィンランド。
北欧に属す同国だけにリベラルなのかと思いきや、戦後約30年間、同性愛は違法であり、抑圧の中で息を殺すゲイ・ピープルの姿が描き出されていく。

作品内の大半を、そうした『灰色の時間』に充てているためか、色調は非常に地味で、暗い。
また伝記映画にありがちな駆け足の展開で、主人公の創作、恋愛、人生などを浅く掬う体裁に食い足りなさが残る。
とは言え、神秘のベールに包まれていた『ハードゲイスタイルの創造主、トム・オブ・フィンランド』の実体を確認できて、好奇心は満足した。

冒頭の台詞が英語だったので「ゲ~ッ、マジかよ」と思ったが、すぐフィンランド語に移ったのは、◎。