真世紀

日本やくざ抗争史 関東城北戦争の真世紀のレビュー・感想・評価

3.2
小沢仁志演じる巨堂義勇会幹部の児玉、その縄張りに秋吉会の事務所が進出。テキヤの流れの義勇会と博徒の流れの秋吉会、稼業違いだから道を開けてくれという言い分だが、もちろん、そんな理屈は通るわけなく、喫茶店での交渉に出向いた義勇会の構成員が突っぱねて射殺される。兄貴分が殺されるのに何もできずにいた青年は組を離れることを許される。

テキヤ対博徒。
「稼業違いって言ったって、しのぎがぶつかりゃ喧嘩にもなります。まさか会長までテキヤは黙ってたこ焼き焼いてりゃいいって言うんじゃないでしょうね」
「そりゃあな、博打だけで食ってる博徒がいるなんて今時思わねえけどよ。テキヤのバイってのはな、俺たちが守り続けていかなきゃいけねえ、文化というか伝統というかよ、日本人の心みたいなもんだと俺は思うんだけどな」
「そりゃあ、まあ。歌舞伎や能みたいに国が保護してくれるとでも思ってるんですか」

小沢とテキヤの会長諏訪太朗のこの会話、面白かったです。

武闘派でかつテキヤの基本は横一列な組織の構造改革を胸に秘めていた小沢に対し、手下がイケイケで暴走、結果、割りを食う秋吉会の抗争相手幹部に古市榮一。両者の命運のコントラストが際立つ。

両組織からハイエナと罵られるマル暴刑事駒田に中野英雄。同じ秋吉会ながら小沢とは付き合いがあり、抗争を機に怪しい動きを見せる組長に奈良坂篤。博徒界の大物に岡崎二朗。小沢を支える幹部に松田ケイジというお馴染みな出演陣。その中で足を洗った青年の職場のヒロイン的な役で「カメラを止めるな!」の秋山ゆずきがちょい出演してそこだけ涼やか。
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