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万引き家族のMobydickのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

前評判通り安藤さくらは凄かった。
そして役者さんがたが見事に演じてくださるおかげで「家族」という主題にノイズなくフォーカスできた。

現代日本は(海外は知らないけど)法的にも不文律としても血縁関係をめちゃめちゃ重視するけど、実は血縁なくても家族関係は成立する。なんなら血縁関係でうまくいかない地獄から抜け出して、幸せな人生を歩める可能性すらある。
でも血縁至上主義の社会通念や司法がある限り、その枠外にはみ出た家族は葛藤を押し付けられる。

安藤さくらの涙には、自分は産めなかったとか、偉そうにしやがってとかいろんな思いが渾然としているけれど、いずれもそうやって押し付けられた葛藤が詰まっているように感じました。

社会問題の同性婚についても思うけど、結婚とか家族って本人同士が納得しているだけじゃなくて、法という権威に保証されて社会に関係性を認められることが本質な気がしている。
この映画は「だからああしろこうしろ」までは踏み込まないけど、想像力の圏外にある人間の振れ幅を見せてくれたように思いました。

でも社会が血縁以外の家族関係を受けいれても、また別のところに排斥のラインは置かれて誰かが追いやられるんだけどね。そのいたちごっこを覚悟を持ってやり続けるのが人間として生きるということなのか。
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