emily

婚礼のemilyのレビュー・感想・評価

婚礼(2016年製作の映画)
3.8
パキスタン系ベルギー人のザヒラは、18歳になり、親からは同じパキスタン人との結婚を強いられる。両親も家族も大好きだから風習に従わなければという気持ちと自由を求める気持ちがあり、揺れ動き、時に逃げ出し、兄にも心配をかける。

 ザヒラは風習と自由の狭間で見事に揺れ動き、古い物を大事にする家族の中にもしっかり”時代”は自然と流れ込んでおり、それを必死で食い止め伝統を守る事に徹する。両者の葛藤が非常にシビアに描写されており、その間で板挟みになる兄の刹那もひしひしと伝わってくる。

 ザヒラの心もしっかりパキスタン人であり、お祈りを毎日欠かさない。だからこそ揺れ動く。しかし心の中に芽生えた心に正直になる事を決め、ボイコットするのだ。しかし何か求めるには必ずそこに犠牲が生まれる。何かを手に入れるにはその分失う物もある。家族を愛してる。しかしこれは彼女の人生であり、動かなければ何も変わらない。

 姉はお見合いして結婚したが今は幸せだという。もちろん与えられた物の中に幸せを見いだせる人もいるだろう。しかしそうでない人もいる。何が正しいのは、それは終わってみないと分からない。彼女の選択の代償は大きい。自由なんて簡単に手に入らないのかもしれない。しかし一瞬でも感じたその思い、そうして決断した時の思い、それだけが永遠なり残る。それでも誰かが行動しないと何も変わらない。
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