emily

サマーフィルムのemilyのレビュー・感想・評価

サマーフィルム(2016年製作の映画)
3.2
 少年の夏休み。父とその友人と三人。その場所で出会う人たち、何でもない夏の一コマ。しかしその一瞬を切り取るように、その一瞬一瞬が貴重で大切な夏の思い出となる・・

 ドキュメンタリーさながらのカメラワーク、色彩。カメラの存在をしっかり感じさせ、意味深な細部のアップ、大人と子供の感じ方、同じエピソードもそれぞれ捉え方が違う様を感じさせる。少年の耳のアップ、横顔のアップ。夏の虫の鳴き声、聞こえる者と聞こえない者、聞こうともしない者がいる。上質なフレンチポップが寄り添い、少年と父の友人は肩車をしたり、ジャングルジムで横たわったり、まるで親子のように過ごす。いつしか友人も子供の頃に戻ったような無邪気な表情を見せ、二人の距離も縮まる。しかし少年にとっては束の間の夏休み。それは終わりをつげ、日常に戻れば今日の日の事などきれいに忘れてしまうだろう。しかし父の友人は違う。繰り返し聞くレコードのように何度も何度も今日の日を思い出し、切なくなるのだろう。でもそれが大人と子供なのだ。
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