つかれぐま

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのつかれぐまのレビュー・感想・評価

5.0
9/1_大泉#1

これが俺のやり方

「シャロンテート事件を予習しておけ」TLに流れる半端ない量のつぶやき。この言葉の本当の意味が分かった瞬間のカタルシスが凄かった。映画好きの連帯感に感謝!

ラストには幾重もの意味合いが込められる。
悪への「正当な」制裁、
好きなものを奪われた怒り、
新たな潮流に対する古いものの意地、
昨今の過剰なポリコレへの反発、
and 映画を信じることの素晴らしさ。
それをあくまで「俺のやり方で」遂行するリック、クリフ、そしてタランティーノの矜持たるやもう・・・。

本作を味わうには、シャロンテート事件のことだけでなく、この時代がアメリカ映画の転換期だったことを知っておく必要があるなと思った。たとえばヒッピー集団の中の一人が”サンダンス”と呼ばれていたり、「卒業」の「ミセスロビンソン」が使われたり、ヒッピー集団には当時のニューシネマの潮流が投影されていた。とにかく観る人を選ぶ作品ではある。

タランティーノはあと1本で監督を止めるとの噂。確かに(彼自身の)キャリアの終焉も感じさせる哀感が全編に漂っていた。そこに気持ちよく身を委ねていタラ、あっという間の160分だった。