RAY

輝ける人生のRAYのレビュー・感想・評価

輝ける人生(2017年製作の映画)
3.8
“信じて飛ぶのよ”


コロナ離婚やコロナDV、コロナウイルスの影響は人々の根幹にまで影響を及ぼしている様です。
これらは不思議なもので、一緒に過ごす時間が増えたことによって増加しているとのこと。
すべての人がそうでないにしろ、「一緒にいたい」と思う相手がそこにいるのに、離婚やらDVやらとは驚いてしまいます。
でも、まぁ、各々にそれぞれの事情があったり、時間とともに気持ちが移ってしまうこともあるのかもしれませんし、人間なんだからそんな風に気持ちが変わる事もあるのかもしれませんね(何があろうとDVはだめだと思いますが)。


前置きが長くなりましたが、この作品も夫婦の時間とそれからを描いた作品です。
どれくらいの時間か…この夫婦は35年連れ添った夫婦なのです。

僕は人が一緒にいたり、離れたりすることは悲しいけれど仕方のないことでもあるのかなぁと思ったりもします。
特に、離れる理由なんて結局はその二人にしか分からないことで、知りたいとも思わないけれど、仮に僕がその人たちに望む事があるとすれば、その二人が前向きにいられると良いなと言う事くらいです。

この映画の場合、主人公となるのは奥さん(サンドラ)の方です。
あるパーティーの最中、奥さんは主人の浮気を目撃してしまい、失意し、そしてそこからの転機が描かれて行くのです。

正直言って、ツッコミどころは多いけれど、この映画のタイトルは『輝ける人生』。
そう、人生はキラキラと輝かせないといけないんです。
その主人公は他の誰でもない自分自身。
そのことに気付いた様に、自分の人生を見つめだす奥さんは誰よりも輝いている様に見えました。
この奥さんを演じたのは、イメルダ・スタウントン。
素晴らしい演技だったと思います。

さて、サンドラには失意の中でも新しい出会いもあるのですが、その相手役の一人がチャーリーです。
チャーリーを演じるのは、『ハリー・ポッター』シリーズのペティグリューでおなじみのティモシー・スポールです。
思わず「ハリー・ポッターの人!!」と心の中で叫んでしまいましたが、こちらも素晴らしい演技でした。


この映画の登場人物は、比較的ご高齢の方が多いです。
ですが、学びはその層の方にのみある映画ではありません。

人生には良い波も悪い波も必ず押し寄せてくる。
だけど、その都度、立ち直れる様な機会や出会いがあって、「最悪だ。立ち直れない」とさえ思えたその“悪い波”だって、気付いたら、「なんてことなかった」と思える日もやって来るのではないかと思うのです。
少なくとも、僕はそう信じたい。


時間とか運命と言うのは時々とても意地悪で、今朝流れた志村けんさんの訃報の様に何を信じたら良いのか分からなくなることをもたらします。
だけど、希望を忘れてしまったら、それこそ世界はきっと真っ暗になるだろうから。
信じる事を諦めないでいたい。


「信じて飛ぶのよ」
このレビューのタイトルにもしましたが、劇中のこの言葉が僕等へのメッセージでもある気がしています。


観て良かった。
RAY

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