Baad

パドマーワト 女神の誕生のBaadのレビュー・感想・評価

パドマーワト 女神の誕生(2018年製作の映画)
3.7
インド映画351本目は日本でも一般上映された時代劇。

インドでの封切りとほぼ同時にSpace Boxの上映会で3D英語字幕で見ましたが、無理して3Dにしたせいか、会場との相性が悪かったのか、画面が暗くてみにくかった。2Dで観賞した方達の方が快適にみられたようです。
********
今回は日本語字幕で劇場で鑑賞しました。

最初の時は画面の情報量が多すぎる上に英語字幕を追うのに必死であまりわかっていない部分もあり、大分印象がかわりました。

満足度体感80点以上今回はあったのですが、やはりラストの問題のシーンはあまりに映画の劇的効果のみを追い求めており、腑に落ちなかったので、多少減点しました。

バンサリーの映画では今回はこれでもいつもより脚本はまとも。
イスラム神秘主義者による物語の精神は忠実になぞっているようで、それをちゃんと演じ切る人材で脇をかためていますね。それがラージプート側のラタン・シン王だったり、スルタンの王妃であったりスルタンの重臣であったりするのが面白いんですが。

セットが一部若干狭い感じがしたのは撮影時の破壊行為の被害のせいでしょうか?

主演のランヴィール・シンは熱演でした。踊りもうまくなって足も上がっていたしね。悪役のスルタンがあまり極悪に見えないのは彼のキャラあってのものでしょう。

むしろスルタン演じたほうがあっていそうなシャーヒド・カプールが王をやったのはひとえに彼の方が色気もあるしダンスも旨いから本当に悪人にみえてしまうからなんだろうなあ。

後おかしかったのがラタン・シンとパドマーワトがラージプートの誇りを語る語彙ですね。
ほとんどウルドゥー語なんだもん。これには笑いそうになりました。(アワド語の詩が原作ということで、それを使ったらそうなるのは当然かもしれません。←今回加筆)今の時代、カッコよく戦士が見えを切ろうとしたらイスラム系の語彙じゃないとだめなんですかね。これにヒンドゥー原理主義者が黙っていたということは、語源や原作意識するまでもなく伝説として受け入れられているということですね。

そういえば、スルタン側の宰相にアミール・ホスローみたいなペルシャ語の大詩人をいれてたりしますし。今のボリウッド映画の基礎になる文化的な資産を築いた人たちはスルタン陣営です。

シャーヒドの過度に抑えた演技は、公開時underplayが素晴らしいと称賛されていて、何のことかわかりませんでしたが、多分そういうことだろうと、今回思い当たりました。

あと、スルタンの王妃役のアディティの登場シーン、とってもかわいかった☆

色々あって、もっと掘ってみたい映画ではありますが、娯楽映画としては若干趣味に走り過ぎかと思いました。

(2019/6/13記 一部修正)
*********
日本語字幕2度目行ってきました(一部修正)
2019/6/20

で、美術などで目くらましされているストーリーがわかりました。
いつもよりましですが、相変わらず、よくわからない。

イスラム神秘主義者の詩を原作に使って、炎上対策きっちりしているのですね。

スルタンは悪人というより、情緒レベル小学生ですが、それ以外はこの時代なら普通なのでは?
政策的にはイスラム側がまともに見えた。

ラタン・シンは最初の城の攻防戦でドローに持ち込むチャンスはあったのにしないし、領民の生活より戦が優先だし、○○か。

てゆーか、ラージプートの誇りはいいけど、この人たち、領民のこととか領地の外の情勢とかあんまり気にしてないみたいで、なんか好きになれません・・・

面白かったのはスルタンと王、双方の王妃の体格や雰囲気、しゃべり方が似ていたこと。

これ、もとが神秘主義の詩なんだから、一人二役で低予算で語り、あるいは朗読だけの、文芸映画撮ったらおもしろかったのでは?と思いました。
その場合、男性はシャーヒド、女性は アディティでおねがいしたい。
***********
DVDで見ました。
2020/4/14
この映画、元々3Dでも公開されていたものですが、冒頭の部分はそちらの映像を流用したのかと思う程不自然な背景が目立ち気になりました。

細部までこだわるバンサリー監督には珍しく荒っぽい感じ。やはり、撮影中のヒンドゥー教過激派による妨害行為が後を引いたのかな?
ただ、同じ監督の前作でも戦闘シーンは一部観客の失笑を誘う描写があったので、遠景の屋外は下請けに出している可能性もあるかも。

それ以外では情報量が劇場より制限される分落ち着いて見られました。

これってやっぱり内容はイスラム神秘主義ベースの宗教的叙事詩という印象。それで殉死称賛、ですから原作が描かれた時代はまさに文化がうまく融合していたんでしょうね。

全体の印象は劇場鑑賞時とはかわり、インドの文化に翻弄される外来の支配者の当惑を描いているように見えた。

パドマワティ王妃はスリランカ出身の仏教徒設定ですが、スリランカ以外のインド亜大陸の仏教はこの時代一時滅ぶんですね。復活は第二次世界大戦後です。

宗教分布を見ると地域的に多くはイスラム教に改宗したと捉えるのが合理的、と事情通の方に伺いました。

その辺の事情も併せて考えると感慨深いです。
王妃は法論で王様付きのバラモンに勝っていました。

映像的に最新の他の時代物と比べて特に際立っていないようにも見えるので、時代物の大作はもっと輸入して然るべきかもと思いました。
Baad

Baad