Jean

5時から7時までのクレオのJeanのレビュー・感想・評価

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
3.8
パリで重要となる"恐怖"を題材とした映画。

"5時から7時"は午後の愛を語る表現。その中の5時から6時半の90分で、クレオが美しさと恐怖の狭間で葛藤しながら様々な感情に揺さぶられる。

美しさと恐怖が様々な人や行動の関わりから浮き彫りになる姿は、見ていて見応えがありました。

知人が恐怖に怯えるクレオを元気づけようと意識を逸らすような発言をすることに対し、クレオは至って真剣であり茶化す事を嫌がる。たちまちクレオは親身になってくれない知人に距離を感じてしまい、日常を生きる賑やかな庶民の中でますます孤独になり街を彷徨う。

最大の見せ場はやはり自宅での歌のシーン。
本人の思いと一致する希望を歌ったものもあれば、絶望を感じさせる歌でミシェル・ルグランと喧嘩するシーンはクレオの喜怒哀楽をすごく感じさせる迫力のあるシーンでした。

低予算で1日を描いたかなり限られた環境下の中で作り上けた作品で、時間を追うばかり盛り上がりにかける場面もありますが、アニエスらしさが詰め込まれた情熱のある作品。個人的には好きでした。

P.S.この映画は夏の最初の日、6月21日(当時の夏至)に撮影されており、1日が最も長く感じる日に撮影日ができると知ったアニエスは勝利を確信したとのこと。時代に残る名作ですね。
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